平成30年3月19日付毎日新聞東京本社版夕刊
取手中3自殺 「いじめ隠蔽」、市教委謝罪へ 保護者会で
大井川和彦知事(手前)に徹底した調査を依頼する中島菜保子さんの両親=水戸市笠原町の県庁で2017年11月6日午後2時30分、玉腰美那子撮影
茨城県取手市で2015年11月、市立中学3年の中島菜保子さん(当時15歳)がいじめを苦にする書き込みを日記に残して自殺した問題で、市教育委員会が24日、当時の同学年の生徒を対象に2年ぶりの保護者会を開く。市教委側が当初、自殺を隠して調査し、「いじめはなかった」とした対応を謝罪する予定
だが、「プライバシー保護」を理由に報道公開しない方針で、遺族は「何も期待できない」と話している。
保護者会は同日午後7時から、市役所藤代庁舎1階で開く。同学年だった元生徒約140人も出席できる。
市教委によると、県設置の第三者調査委員会が元生徒らへの聞き取りを行うことから、これまでの経緯を改めて説明し、謝罪するという。矢作進教育長のほか、当時の校長や教頭も出席予定。
報道公開しない方針について、市教委の小林幸典教育参事は「生徒のプライバシー保護のほか、質疑応答でさまざまな意見が出ることが予想され、(公開して報道されれば)一方的な印象を与えてしまう」と説明した。保護者会の後、報道陣に対応するかは不明。
毎日新聞が情報公開請求で入手した市教委の資料や菜保子さんの両親によると、市教委と学校は自殺直後、「受験を控えた生徒たちへの配慮」を理由に、自殺の事実を隠して「突然死」と生徒らに説明。保護者会は16年3月、卒業の2日前に開かれ、学校側は「いじめはなかった」と説明し、紛糾した。
再度の保護者会開催を求めてきた菜保子さんの父考宜さん(46)は、出席の意向を示したうえで「これまでの経緯もあるので公開すべきだとは思うが、今更何も期待できないとも感じる」と諦めの声を漏らした。【安味伸一、玉腰美那子】