平成30年4月7日付朝日新聞茨城版
保護者会開催めど示せず いじめ自殺で新教育長
就任会見する伊藤哲教育長=取手市藤代
取手市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題で、新たに教育長に就任した伊藤哲(さとし)氏(61)が6日、市内で会見した。市教委がいじめを認めなかった当初の対応を「重大な過失だった」と認める一方、保護者会開催のめどは明言しなかった。
伊藤氏は中島さんの両親に「長年ご心労をおかけしていることを深くおわびする」と頭を下げ、「この事案を改めてとらえ直して誠実に取り組んでいく」との決意を表明。2005年から3年間、市教育長を務めており、「経験を生かしたい」と抱負を述べた。
また、市教委が「いじめによる重大事態に該当しない」と議決したうえで、調査委員会を設置したことについて、「重大事態の認識が欠けていたのが最大の過ち」と改めて認めた。
一方、3月末の保護者会は元担任教諭が体調不良を理由に欠席して混乱。両親は夏までに元担任が出席しての開催を望んでいるが、伊藤氏は「医師の判断もあり、開催時期や方法を含めて探っていきたい」と述べるのにとどまった。両親との信頼回復についても「話し合う機会を何とかつくりたい」と話した。
伊藤氏は県の教育行政に携わり、3月まで県教育財団専務理事を務めた。辞任した矢作進前教育長の後任に1日付で就いた。任期は20年3月までの2年間。(佐藤清孝)