平成31年2月5日付神戸新聞
神戸中3自殺 メモ隠蔽で有識者会議が報告書提出
不祥事防止策をまとめた報告書を長田教育長(右)に手渡す山下座長=神戸市役所
神戸市垂水区で2016年10月、中学3年生の女子生徒=当時(14)=が自殺し、同級生らがいじめを証言したメモが隠蔽された問題で、神戸市教育委員会が設置した「組織風土改革のための有識者会議」が4日、不祥事防止の取りまとめを長田淳教育長に提出した。背景に教職員の多忙化やいびつな年代構成などが影響していると指摘し、研修の充実や働き方改革の推進などを求めた。(井上 駿)
メモ隠蔽問題と、後を絶たない不祥事の背景が共通しているとし、対策をまとめた。座長の山下晃一神戸大准教授から取りまとめを受け取った長田教育長は「アクションプランを策定し実行していく」と述べた。
取りまとめでは、14~18年度、教員の懲戒処分(66件)の約半数を50代が占め、節目の年次で定期的に総合的な研修をすることを提案。学校への啓発も事例の紹介や資料配布にとどまっているため現場の意識や理解が不十分とし、研修の充実や強化が必要とした。
また、不祥事の遠因になっている多忙化については、若手が多く、中堅が少ない年代構成も影響しており、管理職によるマネジメント強化など働き方改革を挙げた。ほかにも、風通しの良い職場環境づくり▽弁護士ら外部専門家の活用▽教職員の相談・通報窓口の充実-などを盛り込んだ。
また、校長間で教員の異動の調整をする市の人事慣行について山下座長は「異動希望が通りやすい側面もあるが、学校の伝統にとらわれて法令順守の意識が薄れやすい」と指摘した。