平成31年2月14日付朝日新聞埼玉版
川口市、第三者委認定「いじめ」を一転否認
埼玉県川口市立中学校でいじめが原因で不登校になった元生徒(16)が、学校や市教育委員会の対応が不適切だったとして市に500万円の慰謝料を求めた訴訟の第4回口頭弁論が13日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)で開かれた。市側は訴状の認否で、市教委が設置した第三者委員会が調査報告書でいじめと認定した行為を一転して否認する準備書面を提出した。
調査報告書は昨年3月、第三者委が生徒や教諭への聞き取り調査などから7行為をいじめと認定。「不登校はいじめが主因」とまとめた。これを受けて当時の学校教育部長も、記者会見で「学校の対応の遅れ、市教委の見通しの甘さなどすべてについて(元生徒側に)謝罪した」と話した。
訴状も報告書に基づき、7行為をいじめとした。しかし、市側はこの日の準備書面で、報告書でいじめと認定された、元生徒の自宅を他の生徒がスマートフォンで無断撮影してLINEにあげたことについて、「遊び」として否定するなど、7行為すべてについて一転いじめを否認した。
こうした市側の主張に元生徒側は反発。岡部裁判長は市側に対し、次回(5月15日)までにいじめを否認した根拠について説明するよう求めた。
市教委は「いじめ防止対策推進法のいじめの有無と、自治体相手の損害賠償での違法性(いじめの存在)の有無は異なると考えている」とコメントした。
元生徒の母親は「度重なる事実とは異なる主張が、どれほど子どもを傷つける行為か考えて欲しい」と話している。(堤恭太)