「いじめと強い関連」無視や陰口など25件認定 宝塚・中2自殺
令和2年6月22日神戸新聞NEXT
宝塚市の中川智子市長に調査内容を答申する市いじめ問題再調査委員会の春日井敏之委員長(右)=22日午前、宝塚市末広町(撮影・村上貴浩)
兵庫県宝塚市で2016年12月、市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が飛び降り自殺した問題で、同市が設置した再調査委員会(委員長=春日井敏之・立命館大大学院教授)は22日、同年9月ごろから部活動やクラスで無視や陰口など計25件のいじめがあったとする報告書を公表した。同委は「いじめと自死には極めて強い関連性がある」とした。(大盛周平、中川 恵)
この問題を巡っては、当初に調査を担当した第三者委員会が18年7月に報告書を市教委に答申。だが、遺族が事実誤認などを指摘し、同委が同10月に改訂を行う異例の事態に。4件のいじめを認定し「いじめ行為以外に特に自死に結びつくような事柄は見当たらなかった」としたものの、遺族は実態が未解明として再調査を求めていた。報告概要の具体的な内容が公表されるのは今回が初めて。
再調査委は中川智子市長の諮問を受け、昨年7月、大学教授や弁護士ら5人で発足。女子生徒の同級生や教職員ら計46人に聞き取りなどを実施した。
再調査報告書によると、女子生徒は16年9月ごろから、クラスや所属する部活動で複数の生徒から無視や仲間外れにされ、「うざい」と言われるなどした。部活動中にボールを集中的にぶつけられることもあったといい、自身の行いを謝罪しようとした行為も笑われ、「尊厳が大きく毀損(きそん)された」と指摘。再調査委は「いじめによって自死したことは明らか」と報告した。
また、部活動では2015年から別の部員に対するいじめが発生しており、既に4人が退部していたにもかかわらず、顧問らが具体的な対応をしていなかったことなども判明。同委は「学年、学校を挙げた指導、支援が行われていれば当該生徒の重大事態は避けられた可能性が高い」とし、学校や教員の危機意識の乏しさを指摘した。
さらに第三者委の調査についても「調査プロセスで丁寧さを欠いた」とし、遺族との意思疎通に問題があったことを批判した。
答申を受けた中川市長は「救える命を救えなかった責任をしっかり受け止める」とし、早急に検証委員会を設けるとした。遺族は代理人弁護士を通じ「娘の自死は偶然が重なった結果ではなく、起きるべくして起きた悲劇だった。徹底した再調査の結果を高く評価し、これを受け入れたいと思う」とコメントした。