2020年11月25日付神戸新聞
宝塚市立中で体罰の教諭 全国的に異例の懲戒免職
宝塚の体罰問題で、男性教諭の懲戒免職処分について説明する兵庫県教育委員会の稲次一彦教職員課長(中央)=兵庫県庁
部活動中に男子生徒2人に柔道技をかけてけがを負わせたとして傷害罪で教諭が起訴された宝塚市立長尾中学校の体育館=宝塚市長尾町
兵庫県宝塚市立長尾中学校の柔道部顧問が、部活動で生徒2人に背骨を折るなどの重軽傷を負わせた問題で、県教育委員会は24日、傷害罪で起訴された教諭の男(50)について「指導の範疇(ちゅう)をはるかに超えた。体罰とすら呼べない」などとして懲戒免職にしたと発表した。現場にいたにもかかわらず暴行を傍観した副顧問の男性教諭(42)は減給10分の1(3カ月)の懲戒処分とした。
生徒児童への体罰や傷害を理由に、公立学校の教職員が免職となるのは全国的にも異例。県教委は宝塚市教委に体罰防止の研修などを要請した。
起訴状などによると、男は9月25日、柔道部OBが差し入れたアイスキャンディーを勝手に食べられたことに立腹。1年生の男子部員に投げ技や寝技をかけて、背骨を折る全治約3カ月の重傷を負わせたとされる。別の男子部員にもけがをさせた。
男は11~13年にも生徒に体罰を3度繰り返したとして、減給などの懲戒処分を受けていた。男は「最初は厳しめの指導と思っていたが、大変なことをやってしまった」と反省しているという。
副顧問の教諭は「制止できず後悔している」と話し、部活動の指導から外された。県教委は指導監督が不十分だったとして、男性校長も戒告処分とした。
処分を受け、宝塚市の中川智子市長は「一歩間違えば生徒を死に至らしめた事件。厳しい結果は当然」と語った。同市教委が被害者家族に被害届を出す判断を委ねたことに対しては、学校や市教委が体罰事案を警察に報告、告発する制度を検討すると答えた。
(斉藤絵美、名倉あかり)