中2自殺は「いじめが要因」 八王子市の再調査委が報告書公表 「学校の対応のまずさ」も指摘
2021年5月14日 付東京新聞
東京都八王子市で2018年夏、市立中学2年永石陽菜さん=当時(13)=が自殺した問題で、市の再調査委員会は14日、「いじめと学校の対応のまずさが自殺の主な要因」とする報告書を公表した。市教育委員会による最初の調査では、いじめと自殺の因果関係を認めていなかった。
再調査委報告書によると、永石さんがツイッターで家族旅行に行ったことをつぶやいたことに、陸上部の上級生が「自慢ですか」とラインに書き込んでいた。
さらに、試合に欠席し旅行に行った写真を会員制交流サイト(SNS)に掲載し、部員から「足が痛くても(試合に)来られるでしょう」などとメッセージを送られたことなどが、永石さんに心理的苦痛を与え、自殺の一因になったと認めた。
学校がいじめを重大事態として調査せず、永石さんが不登校になった後も専門家に相談しなかったことにも触れ「学校の不作為が自殺につながる心理的な苦痛を強めた可能性がある」とした。
永石さんの父、洋さん(59)は記者会見し「陽菜の気持ちをよく調べてもらった」と再調査を評価した。石森孝志市長は「学校対応に厳しい指摘があった。再発防止に向けてしっかり取り組みたい」と話した。
永石さんの自殺を巡っては19年8月、市教委が委嘱した第三者調査部会は「不登校の原因はいじめにあった」としながらも、いじめと自殺の直接の因果関係は認めていなかった。遺族側は「学校による不適切で違法な対応が不登校の継続や長期化の原因だ」と市長に再調査を申し立てていた。 (布施谷航)