平成28年3月18日付朝日新聞
面談のメモ、存在せず 報告書、担任の記憶頼み 広島・中3自殺
広島県府中町の町立府中緑ケ丘中学校3年の男子生徒(当時15)が自殺した問題で、学校が調査報告書に記した生徒と担任教諭の5回にわたる面談のやりとりは、担任による面談時のメモが根拠とされていたが、メモは存在していなかったことがわかった。17日、坂元弘校長が明らかにした。すべて担任の記憶のみに依拠して作成されたことになり、報告書の信用性が問われそうだ。
担任と男子生徒は、昨年11月中旬から自殺当日の12月8日まで5回、進路について面談。学校が今年2月にまとめた報告書は、1回目の面談で担任が「万引きがありますね」「3年ではなく、1年の時だよ」と問うと、男子生徒は「あっ、はい」と答えたと記す。その後の面談も具体的な
会話を交えて記している。
担任は一連のやりとりで万引きを否定する発言がなかったとして、1年時に万引きをしたとする誤った記録の確認ができたと誤認した、としている。
これまで学校や町教育委員会は、報告書に記したやりとりは担任の証言に基づくもので、正式な記録はないが、担任が面談の際に残したメモをもとにした証言と説明していた。
しかし今月16日、同僚が改めて確認したところ、担任は生徒の志望校や合否の可能性など事前に調べた内容はメモにしていたが、面談時の会話の内容は一切残していなかったという。
坂元校長は「私自身、面談の結果は残していたし、メモはあると思っていた。メモがないと聞いて愕然とした。記録を残しておかないと後でいろんな時に困る。今後設置する第三者委員会でも面談のやりとりの調査は難しくなると思う」と話した。(泉田洋平、根津弥)