東広島中2自殺 校内アンケート「不存在」 市教委、開示請求拒む

東広島市立中2年の男子生徒=当時( 14)=が2012年10月に自殺した問題で、原因解明のめに実施したアンケートを、市教委が「不存在」と位置づけ、両親からの開示請求を拒んでいる。アンケートの実施主体が外部有識者の調査委員会で、元委員長が保管しているため「公文書ではない」という理屈だが、両親や市議が激しく反発、市教委が保管方法の見直しを表明する事態になっている。

調査委の元委員長保管「公文書ではない」

生徒や教職員らを対象としたアンケートに聞き取りなどを加えてまとめた報告書は昨年9月、調査委から木村清教育長に提出された。調査委は同12月解散した。原因解明が不十分とする両親は、昨年10月〜ことし1月、市教委に3度アンケ― 卜の開示請求をした。市教委は集計結果について非公開を前提にアンケートした― などを理由に「不開示」、2度目の請求には「不存在」。アンケート原本も「不存在」とした。両親は開示を求め異議申し立て中だ。
調査委事務局だった市教委によると、当初は管理下にあったが、昨年11月に調査委内部で当時の吉中信人委員長(広島大大学院教授)が保管すると決まった。先月の市議会文教厚生委員会で「公文書の位置付けが当初あったのなら、一私人に預けるのはどうか」「紛失失や漏えいがあったら大変」など委員から厳しい意見が相次いだ。 ′
広島市公文書館長も務めた愛媛大元教授の本田博利氏(行政法) は「調査委は市教委が設置要綱に基づいて設けた組織。公文書として保管、保存、廃棄のサイクルに乗せるべきだ」と指摘する。
市教委は13日の文教厚生委で「市教委で責任を持って保管する方向で元委員長と協議している」と答弁。両親の異議をどう扱うかは市の個人情報保護審議会に諮問している。
アンケートは、生徒が死亡に至った経緯や背景を明らかにするため、昨年3、4月に実施。非公開とすると設問用紙に明示したという。調査報告書は、複数の教師の一連の指導と自殺の関連を認めた一方で、「一部だけを決定的要因とするのは困難」としている。

私文書と認識吉中元委員長の話
アンケートの作成権限は調査委にあり、私文書と認識している。調査委解散後も守秘義務は有効であり、責存を持つて管理したいという気持ちから保管することを決めた。セキュリティー面の指摘はもっともなので、封した上で市教委に渡すつもりだ。
中国新聞 平成26年5月15日(森岡恭子)

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