平成31年3月13日付朝日新聞群馬版

「これからもいじる」同級生の?手紙 高2自殺

群馬いじめ1

いじめられていたことをうかがわせる女子生徒が残したメモ=2019年3月9日午後6時53分、前橋市内

群馬いじめ2

女子生徒の自宅に入る校長=2019年3月12日午後4時49分、前橋市

群馬いじめ3

祭壇の遺影を見つめる女子高生の父親=2019年3月9日午後6時59分、前橋市内

いじめ解明へ第三者委 県教委

前橋市の踏切で今年2月、群馬県立高校2年の女子生徒(17)が電車にはねられ死亡した事故で、いじめを原因とした自殺だと主張している両親が12日、自宅を訪れた校長らに対し、第三者委員会の設置を要望した。これを受け県教委は、いじめの有無や因果関係を確認している学校の調査終了を待って、その妥当性を検証するため第三者委を設ける見通しだ。

女子生徒は2月1日、前橋市大胡町の踏切で電車に飛び込み、自殺した。高校入学の数カ月後から周囲の生徒に嫌がらせを受け、「いじめる生徒がいる」などと家族に相談し、女子生徒の死後にはいじめを示唆するメモも見つかったとして、父親(63)は詳しく調べるよう求めている。

校長らは12日午後5時前、花束を持って女子生徒の自宅を訪れた。校長は約30分間の両親とのやりとりやいじめの有無について報道陣には明かさず、1枚の紙に書かれたコメントを読み上げた。「更に詳細な状況を調査する必要がある」「いじめの有無を含んだ調査を、引き続き行う」などと述べた。

学校側が両親に示した調査の中間報告によると、学校は教員や女子生徒の同級生全員から聞き取りを実施。女子生徒が今年1月、ほかの生徒から「『死ね』と言われた」というトラブルを

担任に相談していたことが確認されたという。女子生徒の残したメモ書きが今月6日に両親から学校へ提供されたのを受け、このメモや作文などの調査を進め、改めて両親に説明するとしている。

父親は取材に、「今日は紙を渡されて読まれただけ。一体何しに来たのか」と憤った。さらなる調査のため、第三者委の設置を要望したという。

こうした状況を受け、県教委高校教育課は、いじめ防止対策推進法の「重大事態」にあたるとして、第三者委を設置する考え。ただ、資料の精査や他の生徒の心のケアに時間を要し、学校の調査終了は来月になる可能性もあるという。

同課の高橋章生徒指導係長は「家族の意向に添った調査が一番大事。家族と相談しながら、設置の時期などを決めたい」と話した。(丹野宗丈、山崎輝史)

 

「耐えられない」「気持ちが押しつぶされそうだ」――。2月1日に自殺した県立高校2年の女子生徒(17)がいじめや人間関係に悩んでいたことをうかがわせる25枚ほどの手書きのメモは、遺品の筆記用具入れの中にあった。亡くなってから2週間ほど経って父親(63)が見つけた。日付や時間を記したものや同級生と思われる名前が複数書かれたもの。調査のため、学校や県警に提供したという。

両親によると、娘へのいじめを初めて知ったのは高校1年の秋ごろ。路上で泣きながら帰宅する姿を目にした母親が尋ねると、「いじめてくる同級生がいる」と打ち明けた。担任の教員に訴えても取り合ってもらえず、逆に1時間ほど個室で大声で指導されたと話した。両親はすぐに学校で担任らと面会。「学校は『絶対にいじめなどはないようにします』と約束したが、結局は守ってもらえなかった」と父親は憤る。残されたメモには「先生は私の言葉を信じてくれなかった。ネットで悪口を言われているのは本当なのに」との記述もあった。

その後も帰宅後に30分もの間手を洗い続けたり、腹痛や頭痛などの体調不良を訴えたりしていた。亡くなる1年ほど前から精神かにも通院してカウンセリングも受けたという。「中学までは笑顔が絶えない明るい性格だったが、高校に入ってから別人のように表情が暗くなってしまった」と父親。「腫れ物に触るようで、理由を聞くに聞けなかった」と悔やむ。

今年1月ごろから体調が悪化し、特に頭痛に悩まされていた。それでも「大丈夫」と気丈に振る舞い、学校には通っていた。ただ、母親や姉には亡くなる1週間ほど前に「同級生から死ね、と言われた」などと明かしたという。

亡くなった日は学校で体調が急変し、家族が付き添って受診。医師から勧められて3日後に入院することになっていた。だが帰宅直後、自宅から姿を消し、600メートルほど離れた踏切で自ら命を絶った。

「なんで娘から目を離したのか」「学校に通わせなければよかった」と悔やむ両親。メモと一緒に同級生が書いたと思われる手紙も見つかった。「遅くなりましたが、誕生日おめでとうございます。

(中略)これからも貴方(あなた)様をいじるような事がありますがご了承下さい」と書かれていた。父親は訴える。「娘も悔しかったはず。いじめた同級生や放置した学校を許せない」(森岡航平)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

Post Navigation