平成30年11月7日付朝日新聞
「SNSでいじめ、不登校に」八王子中2死亡、両親語る
東京都八王子市の市立中学2年の女子生徒が8月に自殺を図って半月後に死亡した事案があり、両親は6日、朝日新聞の取材に応じ、部活動をめぐる「SNS上のいじめで学校に行けなくなったことが原因」と訴えた。市教育委員会は、いじめと認め、第三者委員会で自殺との因果関係を調べる方針を示した。
父の永石洋さん(57)と母の幸子さん(47)によると、亡くなった長女の陽菜(ひな)さん(当時13)は昨年8月、家族旅行のため部活動を休んだことを先輩からSNS上で非難された。
その後、不登校となった。学校に相談したが、「当校に悪い子はいない」などと言われ、転校を促された。今春に市内の別の学校に転校してからも不登校が続いたという。
陽菜さんは両親に残した手書きの手紙で、不登校になった理由は、元の学校の部活動だったとし、SNSで悪く言われたことや、先輩ともめたときに助けてくれる人がいなかったことを記した。転校後も不登校だったことについて「ごめんなさい」とわび、「もっと不登校にやさしい世界だったらな」「学校にいかなきゃダメかな」などとつづっていた。
市教委の設楽恵学校教育部長は記者会見で、部活動のトラブルで不登校となり、転校に至ったのは「法の定義でいういじめ」に当たるとの認識を示した。陽菜さんの死亡については、「後悔と痛恨の極み」と語った。部活動をめぐる問題については、学校側が先輩に直接謝罪させるなど、指導で解決したとの認識だったとした。転校先の学校では、不登校状態が
続いていたため、「ほとんど人間関係がなく、いじめの可能性は無かった」との見方を示した。
市教委は7日の定例委員会で第三者委員会の設置を決める予定だ。学識経験者や弁護士、警察などで構成する方針という。
両親は、学校側が当初、問題が解決したと判断したことについて、「解決したなら陽菜は学校に行っていたはず。何をもって解決したというのか」と疑問を投げかけ、「事実を解明し、第2、第3の陽菜を出さないようにしてほしい」と訴えた。(佐藤純)