2021年3月17日付戸新聞NEXT

尼崎市立尼崎高校のいじめ問題について説明する松本真教育長(右から3人目)ら=17日午後、尼崎市役所(撮影・斎藤雅志)

尼崎市立尼崎高校のいじめ問題について説明する松本真教育長(右から3人目)ら=17日午後、尼崎市役所(撮影・斎藤雅志)

 兵庫県尼崎市立尼崎高校の水泳部で2017年、不登校となった当時1年の女子生徒(既に転校)がいじめ被害を訴えていた問題で、同市教育委員会は17日、当時の男性教頭(60)、男性顧問(48)が生徒や保護者に無断で「転学願」を作っていたことを明らかにした。いじめが理由で転校した事実の隠ぺいを図った可能性が高いとして「極めて不適切な行為」とし、教頭を停職1カ月、顧問を戒告の懲戒処分とした。

問題を巡っては、生徒の保護者がいじめ防止対策推進法の「重大事態」に当たるとして学校に調査を求めたが、2年以上放置されていたことが昨年3月に発覚。市教委が設けた第三者委員会は17日、重大事態と認めた上で顧問の不適切な対応がいじめを深刻化させたとする報告書を公表した。

市教委によると、女子生徒が18年3月に他校へ転校した際、教頭は無断で名前や住所、転校先の欄を記入。さらに担任でもあった顧問に転校理由を「一身上の理由」と書くよう指示し、顧問は従ったという。

昨年3月、第三者委の調査過程で、保護者や生徒の押印がないなど不審な点が判明した。教頭は「生徒側から転学手続きを任されていると認識していた」と隠ぺいの意図を否定しているという。

市教委は「理由の欄に『いじめ』と記入されないよう隠ぺいを図ったとみられても仕方ない」と陳謝。転校の意思そのものをゆがめたわけではないとして、私文書偽造容疑などでの刑事告発は見送るとした。決裁で見落とした当時の校長(62)を訓戒にした。

第三者委は17日、同じく同校水泳部に所属して19年に不登校になった当時2年生の女子生徒についても、部員からのいじめを受けていたと認定した。(山岸洋介)

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