平成31年3月29日付朝日新聞鹿児島版

いじめ再調査委の報告 母「正しい調査を」

鹿児島いじめ再調査

田中拓海さんの写真をそばに置いて記者会見する母親=鹿児島市

27日、いじめを自殺に至る主な要因とする報告書をまとめた県いじめ再調査委の結果を受け、2014年8月に自殺した田中拓海さんの母親(56)は、記者会見を開いた。かかった時間の長さに悔しさをにじませながらも「穏やかな感情になれた」と時折、笑顔を見せた。

冒頭、田中さんが中学を卒業した際にもらった手紙を朗読した。「悪さをすれば厳しくしてくれた母。義務教育最後の日まで、よく育ててくれてありがとうございました」。声を震わせながら読み上げ「本当に普通の子だった。この手紙のたった5カ月後に亡くなったということを多くの人に考えてほしい」と訴えた。

自殺した日から、今回の報告書までかかった4年7カ月。「いつになったら知れるんだろう。時間がかかるうちに拓海のことを雑に扱われているような気がした」と心労をにじませた。当初、息子の名前を匿名にしたが、再調査委が始まる前の昨年4月、報道陣に顔写真とともに公開。「拓海の存在を忘れないでほしい」という思いだった。

報告書を受け、母親は三反園訓知事と面会。「我が子の死の原因を明らかにしようと全力を尽くすのが子への弔い。今後は速やかに正しい調査が行われるように改善策を作ってください」と要望した。三反園知事は報道陣に「県教委の調査はうまくいったとは思っていない。遺族に寄り添う形で行うべきで、教育長とも話し合っていきたい」と述べた。(野崎智也)

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