平成30年3月17日付朝日新聞埼玉版

いじめ判断の甘さ認める 川口市教委が謝罪

川口市中学 

報告書を保護者に提示する教育委員会の井上清之・学校教育部長(左)=川口市

川口市立中学校の男子生徒(15)がいじめで不登校になったと市の第三者委員会が認定した問題で、市教育委員会の井上清之・学校教育部長は16日、生徒の保護者に第三者委の報告書を手渡し謝罪した。いじめに対する市教委や学校の判断の甘さを全面的に認めた。

報告書は全24ページ。市いじめ問題調査委員会(米津光治委員長)が2017年2月から今年3月まで審議、14日に教育長に提出した。

生徒は1年当初からサッカー部でいじめを受けていたと学校は把握。16年9月以降は自傷行為や不登校が続き、保護者や県教委、文部科学省までが再三「いじめの重大事態にあたる」と市教委に指摘したが、委員会設置が翌年2月下旬にずれこむなど、対応の遅れが問題視された。

井上部長は、記者会見で「これほど長期間生徒につらい思いをさせて申し訳なかった。学校の対応の遅れ、市教委の見通しの甘さなどすべてについて謝罪した」と明らかにした。

井上部長は「16年12月に自分が文科省に呼ばれ、初めて自分たちの認識が甘かったことに気がついた」と言及。「いじめ防止対策推進法についてわかっていたつもりだったが頭でしか理解できていなかった。不登校が解決されれば問題は解消すると考え、学校に来させることばかり考えていたずらに時を過ごした」と話した。

生徒は3年で一度学校に復帰したが、学校の支援策がほぼ実行されず不登校に戻った。井上部長は「学校の管理職と教職員を指導し、我々の対応も洗い直す」と再発防止を約束した。

保護者は「校長らに何度も謝罪されたが直後に裏切られ、いま謝罪を受け入れる気持ちになれない。報告書は加害者の言い分がそのまま掲載され不信を感じる」と話している。

同校は生徒数約850人で、不登校の生徒が2月末で38人いる。(斎藤智子)

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