平成30年2月21日付朝日新聞茨城版

いじめ問題で教育長辞任へ 防止条例制定にメド

 取手市立中3女子

市教委定例会で辞任について同意された矢作進教育長(右)=取手市

取手市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題で、矢作進市教育長(66)が任期途中の3月31日付での辞任を表明し、20日の市教委定例会で同意を得た。同日の定例会で、3月議会に提案する「いじめ防止対策推進条例」の最終案が決まったことから区切りをつけたという。

会見で矢作教育長は、県が設置した調査委員会で「調査が適正に進んでいくと思う」としたうえで、4月施行予定のいじめ防止条例を基に、「市を挙げていじめ防止に取り組んでいけるめどがついた」と辞任の理由を述べた。また、中島さんの自殺については「日記が出てきたのに重大事態ととらえることができなかったことが、長引かせる大きな問題だったと反省している」と振り返った。

矢作氏は小学校長を経て2012年から教育長を務めてきた。19日に藤井信吾市長と市教委に辞職願を提出した。

この問題を巡っては、市教委が「いじめによる重大事態に該当しない」と議決したうえで、16年3月に第三者委員会を設置したが、17年6月に解散した。

その後、両親の求めに応じて、県が自殺の背景や市教委の対応などについて調べる一方、市教委はいじめ防止条例制定に向けて検討委員会を設け、審議してきた。

中島さんの父・考宜(たかのぶ)さん(46)は「教育長が辞めても菜保子が戻ってくるわけではない。市教委にはもっと真摯な対応をしてほしかった」と話した。(佐藤清孝)

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