平成28年3月4日付朝日新聞デジタル
いじめ自殺訴訟で和解成立 熊本・和水町と中3遺族
熊本県和水(なごみ)町で2012年、いじめを受けていた町立中学3年の男子生徒(当時14)が自殺し、両親が町に約1100万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が4日、熊本地裁(中村心裁判長)で成立した。町側がいじめがあったことを認めるなどし、解決金350万円を支払う。
和解条項によると、男子生徒が学校で友人から首を絞められて失神した▽女性の名前で呼ばれ、からかわれた▽ズボンに入った虫を押しつぶされた――などのいじめを認定。一方で、いじめと自殺の直接の因果関係の有無には触れなかった。
また、町は、男子生徒が自殺した当時の教育長や校長が当初、「いじめはなかった」とした発言を撤回して謝罪するとし、いじめの再発防止に努めることも盛り込んだ。
訴状などによると、男子生徒は12年7月10日に自宅で自殺した。町側は当初、いじめを認めなかったが、14年に町の第三者委員会が男子生徒に対する11件のいじめを認定した。
男子生徒の両親は「賠償を得る目的ではなく、生徒の無念さを晴らすとともに再発防止のため」と14年10月に熊本地裁に提訴。損害の合計額を計約8970万円と算定した上で、両親の意向で8分の1程度の額を請求していた。(小原智恵)