位置情報共有アプリが発端 長崎・高校生自殺で第三者委がいじめ認定

2019年8月29日付東京新聞

 前橋市の県立勢多農林高二年だった伊藤有紀さん=当時(17)=が二月に自殺したとみられる問題で、有紀さんが設けた会員制交流サイト(SNS)のツイッターに「いじめの積み重ねで(中略)そろそろ限界」「私をいじめてる」と「いじめ」という言葉を一年当時に二カ所書き込んでいたことが分かった。有紀さんはいじめをうかがわせる二十七枚のメモを残しているが、「いじめ」と直接表現した記載が見つかったのは初めて。 (菅原洋、市川勘太郎)
 有紀さんのツイッターは非公開だが、記者が両親の了承を得て閲覧した。ツイッターにある「ヒカル」という名は個人情報を保護する仮名の「ハンドルネーム」。記載の中では家族旅行の情報などが事実と一致しており、有紀さんの書き込みに間違いない。
 ツイッターにあるいじめの記載の一つは、二〇一七年九月九日の書き込み。「少しのいじめの積み重ねで自分が歪(ゆが)んでいってるような気がする…折れたくないのに…そろそろ限界」と告白した。
 もう一つの書き込みは同年八月三十日。「(学校で)倉庫掃除をする時にメンバーが私と、私をいじめてる奴達(やつたち)で(中略)声かけたら『うざ(ったい)』とか返されて泣きそうになった私」と記した。
 さらに、同年七月十三日にはいじめの表現はないが、ツイッターを通じて知り合った人に悩みを相談。「私他の人から悪口言われるの、そのせいか最近全く食べられなくなっちゃった、どうしよう…」と書き、食べても吐くほど苦悩していると打ち明けた。
 続いて悪口の内容について「目でかすぎでキモ(ち悪)い、潰(つぶ)したくなる」と言われたという。
 有紀さんが残したメモでは、三件の書き込みに先立つ一七年とみられる七月三日、生徒から醜いネズミの「ハダカデバネズミ」に似ていると言われたという趣旨と、「『キライ』とも言われた」と記している。
 しかし、勢多農林高が三月に公表した基本調査結果では、メモの記載を裏付ける生徒の証言がないなどとして、同年を中心に記したとみられる二十七枚を全ていじめとは認めなかった。
 こうした調査結果に強い不満を表している両親の意向を受け、現在は県教育委員会が設けた有識者らによる県いじめ問題等対策委員会が調査している。
 父親(63)は「本人がツイッターに『いじめ』と書いた証拠があるのだから、(県教委は)いじめがあったと認めるべきだ。いじめによって食べられず、吐くほど追い詰められていたとは…」と声を震わせた。
前橋

亡くなった伊藤有紀さん(遺族提供)

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