平成29年1月5日NHK大分放送局
公務員賠償訴訟で県側が控訴
8年前、県立竹田高校で剣道部の生徒が部活動中に熱中症で倒れて亡くなった事故で大分県は、先月、大分地方裁判所が賠償金の一部を当時の顧問の教諭にも負担させるよう命じた判決を不服として、5日に控訴しました。8年前、県立竹田高校2年生だった工藤剣太さんが剣道の部活動中に熱中症で倒れて亡くなった事故をめぐっては、両親に賠償金として4600万円あまりを支払うよう県などに命じる判決が確定しています。しかし両親は、おととし、「当時の顧問は、適切な救護措置を取らなかったうえ、ほほを平手打ちにするなど重大な過失があり、賠償金を負担させるべきだ」などとしてあらためて県を訴え、大分地方裁判所は先月、賠償金のうち100万円を顧問に負担させるよう、県に命じる判決を出しました。
これについて、大分県教育委員会は、当時の顧問の対応に、個人として賠償を負担させるほど「重大な過失」があったとはいえないとして、福岡高等裁判所に控訴しました。公務員の職務によって生じた損害は、国や県などが全額を負担するのが原則で公務員個人にも負担を求める今回のような判決は珍しく、大分県の対応が注目されていました。
県教育委員会は「どの程度の過失があれば公務員が個人として賠償を負担すべきかが問われている今回の裁判は、部活動に関わる教員の今後の活動にも大きな影響を与えるため、上級審の判断を仰ぎたい」としています。