平成30年11月21日付神戸新聞

加古川中2いじめ自殺 当時の校長を懲戒処分

加古川中2

会見する加古川市教委の(左から)大西隆博教育指導部長、山本照久教育指導部参事、神吉直哉学校教育課長=20日午後、加古川市役所

2016年9月、兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=がいじめを受け自殺した問題で、県教育委員会は20日、女子生徒が通っていた中学校の当時の校長(59)=現同市立小学校長=を戒告の懲戒処分にしたと発表した。女子生徒が亡くなった結果を重視したという。重大事態と認定されたいじめ問題を巡り、県教委が懲戒処分をしたのは初めて。

女子生徒へのいじめに気づかなかったとして、当時の担任と学年主任が訓告、部活顧問と1年時の担任は厳重注意。いずれも法律に基づく懲戒には当たらない内部処分となった。

この問題では、加古川市教委が重大事態と認定し、16年11月に第三者委員会を設置。17年12月に「生徒はいじめにより自殺に至った」とする報告書を発表した。

報告書は、女子生徒が亡くなる3カ月前のアンケートにいじめを示唆する書き込みをしたのに、学校側は見逃したと指摘。「この時点で気づいていれば、自殺は防げた」と結論付けた。1年時にも無視やからかいなどのいじめを受けたが、学校側は十分な対応を取らなかったとしている。

県教委は、報告書に基づき学校側の責任を検証。2年時の担任と学年主任は、16年6月に実施した学校生活アンケートで、「仲間外れを受けている」などいじめを示唆する女子生徒の回答を見過ごしたと指摘。1年時の担任は、生活ノートに記載されていた女子生徒のSOSを見逃し、部活顧問は、部活内のいじめ行為に対し、十分な対応を

取らなかったとした。

女子生徒の遺族代理人弁護士は「事前に気づいていれば自殺は防げた。かけがえのない命が失われている割に軽すぎる」と処分内容に疑問を投げ掛けた。

処分を受け、同市の田渕博之教育長は「教育委員会と全ての学校が子どもに寄り添った教育に全力を尽くし、信頼回復に努める」とのコメントを発表した。

(井上 駿、切貫滋巨)

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