平成29年12月10日朝日新聞高知版
南国市教委幹部と遺族が面談 中3自殺
市教委幹部との面談後、記者会見する川村正幸さん=南国市後免町2丁目
南国市立中学3年の川村嘉寛さん(当時15)が2015年9月に自殺した問題で、自殺の原因を調べた市教育委員会の第三者委員会報告書の内容を不服とする両親が9日、南国市役所で大野吉彦教育長ら市教委幹部と面談した。
市教委が昨年3月に公表した報告書では、自殺の原因は「複数の要因が関わった」とするにとどめていた。一方、両親は「いじめが直接の原因ではないか」と主張。第三者委の議事録が作成されず、議論の経緯も不明だと訴えてきた。
今年8月には、両親が市教委へ再調査を指導するよう求める要請書を文部科学省に提出。文科省側は「遺族への丁寧な説明がない」として遺族、市教委双方に話し合いを求めていた。
約2時間の面談後、嘉寛さんの父の正幸さん(49)が同市内で記者会見した。面談が実現したことは評価するとした上で、「報告書に不備があると認識してもらいたかったが、理解いただけなかった。遺族への寄り添いが軽い」と語った。
遺族側は面談で、生徒からの聞き取りで寄せられた「(嘉寛さんが)牛乳をかけられていた」などの情報の真偽や、学校の対応についての調査が報告書では不十分などと主張。「報告書で調査は尽くされている」との市教委側の回答に対し、正幸さんは「報告書が公正公平につくられたものではないという疑念が払拭できない」と話した。
正幸さんは「市教委はいつも受け身で、面談まで長い時間がかかった。ただ真実を教えてくださいというだけ。怒りや、やりきれない気持ちがある」とも話した。遺族側は今後、平山耕三市長と面談して再調査を求めたいとしている。
一方、市教委側は竹内信人教育次長が面談後に取材に応じ、「可能な限りの対応をしてきた」と振り返った。大野教育長は「今後も再発防止に向け、学校・家庭・地域・関係機関との連携をさらに図り、報告書の提言に基づいた取り組みを進める」と文書でコメントした。(菅沢百恵)