平成29年12月21日東京新聞茨木版
取手・中3自殺「丁寧に向き合って」 初会合で遺族訴え
取手市で二〇一五年十一月、市立中学三年生の中島菜保子さん=当時(15)=が「いじめられたくない」と書き残して自殺した問題で、県が設置した調査委員会の初会合が二十日、県庁で開かれた。自殺の背景、取手市教育委員会の対応などを調べる。出席した遺族は「娘の気持ちなどに丁寧に向き合っていただきたい」と訴えた。 (鈴木学)
菜保子さんが亡くなって二年。会合で、菜保子さんの父・孝宜さん(46)は委員らに対し「私たちが調べた内容以上に生徒たちの関係を掘り起こすことは難しいかもしれない。私たちができなかったことは、不適切な表現かもしれないが、加害生徒や先生への聞き取りだ。そういったことを総合的に捉え、一つ一つ丁寧に向き合っていただきたい」と訴えた。
大井川和彦知事は「ご遺族の気持ちに寄り添いながら誠実に調査を進め、結果を踏まえ県の教育環境の改善に努める」と述べた。
調査委のメンバーは市川須美子・独協大法学部教授(教育法)、蒲田孝代弁護士、栗山博史弁護士、臨床心理士の佐竹由利子さん、ソーシャルワーカーの竹村睦子さん、森嶋昭伸・日本体育大児童スポーツ教育学部教授(学校教育)
の六人。委員の任期は二年。知事のあいさつ後、会合は非公開で、今後の進め方などを協議した。
この問題で、取手市教委は、菜保子さんの自殺について「いじめによる重大事態に該当しない」と結論付けた上で第三者委を設置したが、両親の求めで今年六月に解散した。
両親は「市教委との信頼関係が完全に失われている」として、新たな調査委は県で設置するよう、県教委と市教委に申し入れた。それに応じ、県も異例の設置を決めた。