2023年2月8日付朝日新聞デジタル
報告書受けて県教委が対策公表、新たな対策は一部 東稜高いじめ問題
調査報告書で示された提言への対応を議論する県教育長ら=2023年2月7日午前9時53分、熊本県庁、長妻昭明撮影
熊本県立東稜高校に通っていた男性(23)のいじめ被害を調査した第三者委員会が、調査報告書で同校や県教育委員会の対応を問題視したことを受け、県教委は7日、対応策を公表した。従来通りの対応が多く、報告書で求められた新たな対応は一部にとどまった。
昨年10月に公表された報告書は、いじめを認定したうえで、男性が被害を訴えたのに認めなかった学校の対応を問題視。学校と県教委に対し、いじめへの理解徹底などを求めていた。
この日、県教委は定例委員会で対応策を示した。いじめの理解徹底については、県立学校長と管理職に報告書と、元生徒の男性が提出した意見書を共有し、被害者を中心に考えるいじめ防止対策推進法の考えを説明するなど新たな取り組みを実施したと説明した。
一方で、報告書で求められた調査記録の保管や事案に応じた調査主体の決定については、以前からの対応を継続。学校が誤った対応をした場合に是正できるよう、県教委が重大事態の認定を学校とは異なる立場で検討すべきだと報告書が指摘した点は「生徒や保護者から重大事態としての調査の申し出があった場合は必ず県教委に報告する旨の周知を図る」にとどめた。
男性の母親は取材に「報告書が出ても県教委から謝罪はなく、知事宛てに要望書を出しても回答はない。今回の対応策についても一切説明はなかった」と県のこれまでの対応に不満を述べた。対応策の内容は分からないとしたうえで「当事者に問題点や改善点を聞かず、県教委が独自に考えた対応策では不十分だと思う。今後、対応策の内容を見て抗議や要望などを考えたい」と話した。(長妻昭明)