学校でのいじめや事故について考えるシンポジウム
「当事者から見た、学校事故・事件の事後対応」が31日、京都市左京区の
京都精華大であった。2012年7月に同区の養徳小プールで亡くなった当時6歳の女児の両親が自らの体験を語り、外部の視点で事故を検証する第三者委員会について「中立・公正の在り方に疑問を覚える。遺族とかけ離れている」と話した。
遺族たちでつくる「全国学校事故・事件を語る会」が京都では初めて開いた。
養徳小プール事故で亡くなった女児の両親は市教委の第三者委による事実認定について「根拠が曖昧」と不満を漏らした。第三者委の対応が両親との意見交換に次第に消極的になったといい、「説明責任を十分に果たしたとは言えない」とした。父親は「足りない部分を自分たちの手で検証していく」と涙ながらに決意を語った。
また、文部科学省が昨年発足させた学校事故の対応指針を策定する有識者会議について、メンバーである京都精華大の住友剛教授が基調報告で課題を述べた。学校で事故や事件が起きた後の検証作業に携わったことがないメンバーがほとんどといい、「実際に事後対応にあたった遺族や学校、行政の意見をもっと取り入れていく必要がある」と指摘した。
(6月1日京都新聞)
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学校で起きた事故や事件で子供を亡くした遺族らの集会が30日、京都市左京区の京都精華大で行われた。遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」が主催し、京都では初めて開催。遺族や関係者ら約50人が近況を報告し合うとともに、望ましい学校の事後対応のあり方などについて意見を交わした。
参加者らは、学内の事故で亡くなった子供の遺族▽教師による指導直後に自殺した子供の遺族▽いじめにより自殺した子供の遺族-などのグループに分かれて話し合った。
学内の事故で亡くなった子供の遺族の集まりでは、1988(昭和63)年3月に中国・上海で列車同士が衝突し、修学旅行中の高校生らが亡くなった事故の遺族も参加。事故から20年以上たって事故報告書を出すなど、不信感を募らせる対応を繰り返した学校側を改めて批判し「子供の命を守ることを考えていない学校もある」と強調した。
学内で起きた事故・事件や事後対応に詳しい小佐井良太・愛媛大准教授(法社会学)は「孤立しがちな遺族や被害者にとって、同じ立場の人と意見を共有することは救いにもなるのではないか」と話した。
31日には同じ会場でシンポジウムが開催され、遺族らによる事例報告や、大津市立中学校のいじめ自殺事件で第三者委員会の委員長を務めた横山厳弁護士による報告会も行われる。
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「死んだ子供には死んだ理由は聞けない。親としては自分の子供がどこでどう、なぜ死んだのか。その理由を知りたいだけだ」。命を預かるはずの学校現場で子供を亡くした遺族たちは口々にそう話し、涙を流した。
太平洋上で漁業実習中、船酔いで脱水症状となり死亡した男子高校生の母親は、県を相手に民事訴訟を起こし、実質勝訴した自身の体験を紹介。
「学校は隠すことから始める。相手を自分たちと同じだと思ったら駄目だ。
優しい気持ちでは闘えない」と厳しい口調で語った。
水泳の練習中に熱中症が疑われる症状で救急搬送され死亡した男性の両親は、指導者に損害賠償を求めて提訴し係争中。「『対応に問題はない。
子供に非がある』といわれ悔しかった。取れる責任は取ってほしい」と涙ながらに話した。
一方で、同じように民事訴訟で学校側と争いながら、徹底的な再発防止策を盛り込んだ和解を交わした遺族もあった。
バレーボール部の合宿中に急死した女子高校生の両親は、自身の娘の名を冠した球技大会の設置を学校側に要望。学校側は受け入れ、毎年大会前になぜ事故が起きたのかを生徒の前で説明しているという。
母親は「学校から目を離さないのは辛い面もあるが、学校が何をやっているか分からないよりはよかったと思う」と振り返る。
会を主催した「全国学校事故・事件を語る会」のメンバーで、自身もクラブ活動中の熱中症で息子を亡くした宮脇勝哉さん(57)は「事実を知りたいという願いはどの遺族も同じ。支え合っていきたい」と話した。
(5月31日付産経新聞大阪本社版
池田進一)