平成31年4月26日付神戸新聞NEXT
謝罪する宝塚市教育委員会の森恵実子教育長(右から2人目)ら=26日午後、宝塚市役所
森恵実子教育長(左)から第三者委員会の調査報告書を手渡される中川智子市長=26日午後、宝塚市東洋町、宝塚市役所(撮影・風斗雅博)
兵庫県宝塚市で2016年12月、市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が飛び降り自殺し、いじめを認める報告書を答申した第三者委員会の調査について、同市の中川智子市長は26日、「いじめの事実関係が未解明」とする遺族の要請を受け、再調査する方針を明らかにした。同市教育委員会は答申済みの調査報告書の非公開も決定。再調査は、中川市長が改めて委員を任命し、別組織が担当する。
弁護士らでつくる第三者委は約1年半かけてまとめた調査報告書を改訂したものの、女子生徒の遺族に受け入れられず、内容が公表されないまま再調査が決まる異例の事態となった。
会見した同市教委の森恵実子教育長は「遺族と第三者委が十分に意思疎通できず混乱を招いた」と信頼関係を築けなかったと説明。「公表が望ましい」とした調査報告書は部分公開でも合意できなかったとした。
同日、全て非公開となる調査報告書を受け取った中川市長は「遺族が納得されるまで真摯に調査したい。スピーディーに進め、人選に配慮する」と語った。
女子生徒の自殺を巡っては、弁護士や臨床心理士らで構成する第三者委が16年12月に発足。昨年7月までに76回の聞き取り調査と44回の会合を重ね、調査報告書を市教委に答申。しかし、遺族の指摘で、心理学的な仮説を含む記述を削除し、結論部分に「いじめ行為以外に、特に自死に結びつくような事柄は見当たらなかった」と追記した。
神戸新聞の取材では、調査報告書は、女子生徒が仲間に入ろうとすると「ストーカー」と呼ばれたなどのいじめ4件を認定したことが分かっている。
自殺した児童生徒の遺族が第三者委の調査報告書を不満とし、再調査に至るのは、兵庫県内で神戸市、多可町のケースに次いで3件目となる。(中島摩子、大盛周平)