平成29年2月8日朝日新聞福島版
市教委、「いじめ」認める 「解消と判断」
記者会見の冒頭、頭を下げる市教育委員会の柳沼直三教育長(右)ら=須賀川市
記者の質問に答える市教育委員会の柳沼直三教育長=須賀川市
須賀川市の市立中学校1年の男子生徒(13)が自殺した問題で、市教育委員会は7日、記者会見を開き、男子生徒がいじめられていたことを認めた。男子生徒から「SOS」の訴えがある度に関係する生徒を指導していたとし、「いじめは解消したと判断していた」との見方を示した。
この日開かれた記者会見には柳沼直三教育長と、男子生徒が通っていた中学校の校長らが臨んだ。
市教委の説明によると、学校が初めて異常を把握したのは昨年7月。男子生徒がアンケートで友人関係について「(容姿を)からかわれたり、バカにされたりする」と回答した。
また、保護者と担任が同席した11月の面談で「悪口を言われる」と訴えた。さらに12月の「いじめ(悩み)についての調査」で、「いじめられている」と再度、訴えた。
いずれの場合も男子生徒からの訴えを受け、教職員が計十数人の同級生に事情を聴き、からかいなどをやめるよう指導したという。校長は「(12月の指導の後)男子生徒に対するいじめの言動が見られなかった。
生徒からの訴えもなくなったことから、いじめは解消したと判断した」と述べた。
金銭の要求や身体に危害を加えるいじめは確認できていないという。学校は、いじめと自殺の因果関係について調査を続ける一方、市教委も近く外部の有識者らによる調査委員会を設ける方針だ。
男子生徒が1月27日に死亡してから10日以上たって記者会見を開いたことについて、柳沼氏は「遺族から静かに見送らせてほしいと頼まれた」と述べた。一方、SNSなどで不確定な情報が流れていることを挙げ、「今後、調査をする中では公にして対応した方がいいと考えた」とも語った。
柳沼氏は会見の最後に「未来を担う大切な命を守りきれなかったことに対して、心より深くおわび申し上げる」と声を詰まらせながら述べ、頭を下げた。(石塚大樹、鈴木剛志)
■休まず 亡くなる前日も登校
記者会見での主なやりとりは次の通り。
――男子生徒はどういう生徒か
教育長「これまで休んだことはなく、亡くなる前日も登校していた。ごく普通の中学1年生として学校生活を
送っていた」
――いじめていた生徒への指導内容は
校長「担任や学年主任などから、こういうことはやってはいけないと伝えた」
――いじめが解消されたと考えた根拠は
校長「本人からの訴えがなく、『生活ノート』にも記載がなかった。クラスメートが書いた学級日誌にも
『いじめがなくなった』という記載があった」
――ほかの生徒の記載は信じられるのか
校長「総合的に判断した」
――遺族は自殺といじめの因果関係の調査を望んでいないのか
教育長「因果関係についての要望はない」
――遺族が望まなければ今後の調査内容は公表しないのか
市教委学校教育課長「第三者委員会の結果を公表するには、遺族の同意が必要になる」