2016年11月9日 中国新聞社

府中緑ケ丘中PTA会長

小浜樹子さん(53)

「地域も巻き込み、開かれた学校づくりを進めたい」と話す小浜さん
1963年、北海道恵庭市生まれ。90~96年に大阪地裁などで裁判官を務めて退官。97年、大学院教授の夫の仕事の都合で府中町に転居した。町教育委員。府中緑ケ丘
中に娘4人が通い、現在は四女が在学中。

教員と保護者緊張感を

-広島県府中町教委が設置した第三者委員会の報告書をどうみますか。
初めて知ることが多かった。(自殺が起きた)府中緑ケ丘中には長女が入学した約10年前から関わり、荒れていた時期もあった。校内の連携不足に違和感
を感じていたが、報告書でその正体を見た気がした。
-報告書で初めて知ったこととは。
私立高入試の専願・推薦基準の変更について、校内協議で教員同士の意見が割れ、もめたと書かれていた。生徒の将来を左石する重大事なのに、保護者の
目の届きづらい空間で議論されていたことに驚き、学校の閉鎖的な体質をあらためて感じた。協議の段階で知っていれば、保護者として意見を言えたのにと
思う。
-保護者からはどんな学校に見えていたのですか。
生徒や保護者から「先生によって当たり外れがある」「進路相談を聞いてくれない」という声は聞いていた。教員の指導方法も個人プレーで、学校が一丸
となって生徒を育てるという気概を感じられなかった。ただ、保護者も校長に伝えるなど踏み込んだ行動をしてこなかった。
-本年度からPTA会長を引き受けました。
前任者から頼まれたこともあるが、「中学校をよくしていかないと」という覚悟があった。
同時期に校長や教頭など学校の管理職も代わった。私はまず「学校の情報をきちんと公開してください」とお願いした。新しい校長は専願・推薦の基準につい
ての学校の考え方を保護者に説明した。
-PTAの取り組みは。
教員と一緒になって家庭、学校での困り事や子どもの異変を話し合う交流会を3回企画した。毎回、ほぼ全教員と保護者約70人が参加した。風通しはよ
くなっている。
報告書には再発防止のための提言も書かれていたが、学校がすぐに変わるとは思っていない。学校は生き物。ちょっと気を抜くと、やすきに流れる。男
子生徒の死は「何のために教師に、親になったのか」を考える者の関係も単に仲良くなるだけでなく、互いに監視すべき点は監視し合う。緊張の糸は切らさ
ない。今回の自殺がなぜ起きたのか、学校全体で考える機会をつくり、何をすべきかを考えたい。

(木原由維)

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