平成28年12月17日中国新聞社
広島県府中町の府中緑ケ丘中3年男子生徒が誤った万引記録に基づく進路指導後に自殺した問題で、県教委は6日、高校推薦の基準に関するガイドラインの策定など、再発防止に向けた取り組み方針を県議会文教委員会で公表した。
府中町教委が設けた第三者委員会の報告書は、県教委が同校を生徒指導の集中対策校に指定したのに、不適切な指導実態を十分に把握していなかったと指摘している。県教委は、今後の取り組みとして、組織的な学校運営や情報管理▽組織的な進路・生徒指導▽市町教委への指導など▽入試制度についての検討-の4分野の24項目を説明した。
自殺の背景の一つとされた高校推薦の基準については、決め方や周知の方法に関するガイドラインを今後定める。また、組織的な学校運営にしていくため、県教委職員が県内(広島市除く)の全公立中を訪問して実態を把握し、問題があればプロジェクトチームを設けて指導するとした。「専願」と呼ばれる私立高の入試制度については、県私立中学高校襲=などと在り方を検討する。
文教委の集中審議では、組織的な学校運営が取り組みの柱の一つとなっている点に、「なぜ校内の進路指導部などが機能しなかったのかを明確にしないと同じ事が繰り返される」と、さらなる原因究明を求める意見が出た。また、県教委が町教委の第三者委の報告書を想匹する現場調査や聞き取りをする考えを示さないことに対し、「当事者意識が足りない」「本気度が問われる」などの指摘も相次いだ。
下崎邦明教育長は「把握した問題を全校、全職員で共有し、二度と起こさないよう行動につなげていく」と述べた。 (明知隼二)
広島県教委の取り組み方針の骨子
組織的な学校運営や情報管理
・学校経営の問題を把握すればプロジェクトチームを設けて指導
・組織運営やリーダーシップに関する研修を充実
組織的な進路・生徒指導
・高校推薦の基準に関するガイドラインの策定
・生徒や保護者と連携した組織的な進路指導体制の確立
市町教委への指導など
・県教委職員が全ての公立中(広島市を除く)を訪ね、運営状況を把握 入試制度についての検討
・県私立中学高校協会などと連携し、「専願」制度の在り方などを検討