平成26年11月26日朝日新聞
息子の死から4年半…アンケートに「部活で孤立」の様子
自宅のリビングに飾られた悠太さんの遺影。好きだったイチゴのお菓子が供えられている=札幌市
北海道立高校の男子生徒が4年前に自殺したことをめぐる訴訟で、札幌地裁が道側に、学校が生徒に実施したアンケート結果を証拠として提出するよう命じていたことがわかった。
亡くなった高校1年、悠太さん(当時16)の母親(50)は息子の死から4年半を経て、A4判27枚のアンケート結果を手にした。
ずっと学校や北海道に求めながらも、拒まれてきた内容。「やっとスタートラインに立った気持ち。記載されている内容の一つひとつを、遺族や学校が共有することが大切だ」と話した。
悠太さんは中学からトランペットを始め、高校でも吹奏楽部に入った。「お世話になった人に成長を見せたい」と、全国規模の大会への出場を目指し練習していた。ところが、部員とのトラブルをきっかけに、顧問から厳しい叱責を受け、「『もう誰とも連絡をとるな、行事にも参加しなくてもいい』と言われた」と母親に話した翌日、自ら命を絶った。
学校側は「適切な指導」と説明したが、自殺直後に実施した、25人の部員を対象としたアンケートは結果の概要を伝えるだけで、詳細の公表を拒んできた。母親は個人情報保護条例に基づいて開示を求めたものの、拒否されたため、裁判を通じて提出を求めた。
開示されたアンケートには、悠太さんが顧問の叱責によって、部内で孤立した様子を伝える記述もあったという。この間、学校が
全校生徒を対象にアンケートを実施しながら、結果を破棄したことも分かった。「せめて、子どもに何があったのかを知りたいと願う親の気持ちを、なぜそこまで踏みにじるのか。今回は裁判所が遺族の気持ちをくんでくれた」と話す。
福井県池田町では3月に中学2年生の男子生徒が自殺し、町教委の調査委員会が10月、「教師による厳しい叱責」が原因と指摘した。母親は悠太さんの死も同じような「指導死」だと訴える。少しでも真実が明らかになればとの思いで始めた訴訟は30日、8回目の弁論を迎える。(峯俊一平、布田一樹、芳垣文子)