平成30年10月27日付朝日新聞大阪本社版
掃除ばかり3カ月半、練習させず 金光大阪高サッカー部
大阪府高槻市の私立金光大阪高校で昨年、サッカー部監督の男性教諭(55)が部員の男子生徒に、懲戒名目で、約3カ月半にわたって部活動の時間中に掃除をさせていたことが同校への取材でわかった。その間、生徒は練習に参加できなかった。長いときで1日10時間を超えたこともあり、校長は「行き過ぎた指導」と認め、清掃による指導をやめたとしている。教諭は今年7月19日付で訓告処分を受けた。
同校によると、教諭は2017年3月末、他部の生徒とけんかしたとして、男子生徒に部の練習時間中に掃除するよう命じた。期間は示さず、校内のトイレや部室の清掃、学校敷地内の落ち葉拾いなどをさせた。1カ月後、さらに生徒が遠征先に携帯電話を持ち込んだルール違反をしたとして、7月下旬まで清掃を続けさせた。期間中生徒は練習に参加できなかった。
清掃は平日で約3時間。生徒が教諭の指示で書いた日誌には、昨年6月18日の日曜日に10時間半掃除した記録と、教諭が内容を了承した旨のサインがあった。
今年7月、生徒の保護者からの抗議で、学校が問題を把握した。清掃を命じられることは部内で「掃除部行き」と呼ばれ、常態化していた。西村公延(まさのぶ)校長は「長時間にわたる清掃は行き過ぎた指導で、体罰になるかもしれない」と説明した。再発防止のために研修などを開いたという。
文部科学省の13年3月の通知では、遅刻や規則違反などをした場合、教員が清掃させたり、部活に参加させず見学させたりするなどの懲戒を認めているが、「肉体的苦痛を与えるものでない限り」などとしている。スポーツ庁の担当者は「長期間、長時間の掃除は、体罰や行き過ぎた指導に当たる可能性がある」と話す。
体罰に詳しい東京女子体育大学の阿江美恵子教授(体育心理学)は「清掃などの懲戒は、生徒が意欲を持てるよう、事前に一定の期間などを決めてするべきだ。3カ月半という期間や1日10時間の清掃は懲戒の域を超えている」と指摘する。
教諭は保健体育科を担当。1985年にサッカー部の監督に就任し、全国高校総体に7回、全国選手権に2回出場している。卒業生にはJリーグの選手もいる。
(渡辺元史、楢崎貴司)