2022年12月7日神戸新聞NEXT
教諭の過失認めた中1男子転落死訴訟、三木市が控訴断念へ 議会が議案否決、遺族の母「現場の意識変わって」
転落事故訴訟の控訴に関する議案を否決した三木市議会=7日午後、三木市議会議場
兵庫県の三木市立緑が丘中学校で転落死した男子生徒の遺族に対する賠償を市に命じた神戸地裁判決を巡り、三木市は7日、控訴を断念する方針を固めた。控訴するための議案を市議会に提出していたが同日否決され、仲田一彦市長は「議会の判断を重く受け止め、真摯に対応していく」と述べた。控訴期限は14日。
事故は2014年1月、北芝隆晴さん=当時(12)=が体育の授業で持久走をした後に発生。4階教室の窓から転落して亡くなった。地裁判決では、インフルエンザによる高熱で異常行動を起こしたと認定。異変が見られた北芝さんを養護教諭に引き渡さなかった体育教諭の過失を認め、市に計約2070万円の支払いを命じた。
市は、控訴を提起する議案と仮執行停止の申し立て費用を計上した追加の補正予算案を提出したが、市議会は反対多数で否決した。
反対した市議の1人は「司法の判断を尊重した。裁判を続けると、ご遺族にさらに負担がかかる。教育現場の体制を整えていくのが市の役目だ」と説明した。
北芝さんの母嘉代子さん(50)は「今後、教育現場の意識がどのように変わっていくのかが大切だと思う。救えるはずの命が救われるようになってほしい。自分も次に何ができるのか考えていきたい」と話した。(小野萌海、篠原拓真)