2年前に広瀬爽彩さんの遺体が見つかった旭川市内の公園。当時と同様に雪が降り積もっている=5日(西野正史撮影)
2年前に広瀬爽彩さんの遺体が見つかった旭川市内の公園。当時と同様に雪が降り積もっている=5日(西野正史撮影)
 【旭川】旭川市内の公園で凍死した中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=がいじめ被害にあった2019年当時に通っていた中学の元校長(63)が1月下旬の北海道新聞のインタビューで当時の対応を「適切だった」と答えたことに対し、保護者からは元校長の責任を指摘し、説明を求める声が上がった。市内の教育関係者は市教委の対応も不十分だったとして対策拡充を訴えた。
 元校長はインタビューで市教委第三者委員会が昨年9月にまとめた最終報告書を読んでいないと答えた。今津寛介市長はこれについて「当時の学校の責任者で調査対象者だった人でありながら残念だ」と話した。ただ、市長直属の第三者委が再調査中だとして詳細なコメントは避け、「真相が明らかになることを願っている」と述べた。
 子どもが当時、広瀬さんと同じ中学に通っていた旭川市内の40代女性は元校長が記者会見などで説明していないことについて「当時の保護者にも説明すべきだ」と訴える。広瀬さんが川に入った19年6月前後の学校の対応についても「なぜ真剣に広瀬さんのSOSを受け止められなかったのか」と疑問視した。
 この点、元校長はインタビューで、いじめの加害者側の話を聞いた上で、広瀬さんの話も聞こうとしていたが、転校で実現できなかったと主張。いじめの認定は市教委が「保留した」とし、昨年11月に市教委幹部と面会した際、「市教委は責任逃れに終始している」と批判する文書を渡したとも述べた。
 第三者委の最終報告も市教委について「責任逃れの姿勢」があると指摘しているが、野崎幸宏教育長は取材に「元校長個人の見解なのでコメントは控える。(市教委の)第三者委から指摘された改善策を優先する」と話した。
 学校でのいじめ撲滅に取り組むNPO法人「学校の底力」理事長で旭川工業高の岩岡勝人教諭(59)は「困っている子どもに寄り添い、原因を見つけるのが学校の仕事。最悪の事態に至ったのだから、当時の学校の対応は適切とは言えない」と指摘する。市教委の対応にも注文を付け、教員研修などいじめ対策を拡充する必要性を強調した。
 広瀬さんは2年前の21年2月13日に行方不明となり、同3月23日、市内の公園で遺体で見つかった。(村田亮、綱島康之、佐藤愛未)
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