2023年2月10日 付北海道新聞
旭川いじめ再調査委員会、結論急ぐ意向 中2死亡との因果関係解明へ遺族に寄り添う姿勢強調
【旭川】いじめを受けていた旭川市の中学2年広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=が2021年3月に凍死して見つかる前に行方不明となってから、13日で2年を迎える。昨年12月に始まった今津寛介・旭川市長直属の再調査委員会は最大の焦点であるいじめと死亡の因果関係の解明に向け、遺族に寄り添う姿勢を強調。再調査委委員長で教育評論家の尾木直樹氏は、結論までの期間について、市教委第三者委(1年4カ月)より短くする意向だ。
1月22日、一面雪景色の旭川市の永山中央公園。尾木氏ら5人の委員全員が、広瀬さんの遺体が見つかった園内に設けられた献花台に花を手向けた。委員らの「お母さんの思いを知りたい」との意向を受け、広瀬さんの自宅を訪れ、約2時間半話を聞いた。
再調査委が遺族側に寄り添う姿勢を示すのは、昨年9月に最終報告を行った市教委第三者委が遺族側と信頼関係を築けなかったためだ。第三者委は遺族側に一部資料の提供を拒まれたことなどを理由に、最終報告書ではいじめと死亡の因果関係を「不明」との表現にとどめた。ただ、委員長は、記者会見でいじめと死亡について一定の関連があると踏み込む一方で「相当因果関係があるとは断定できない。損害賠償レベルの話ではない」と法的な責任はないとの見方を示した。
委員長の発言は再調査の結論に影響しかねず、遺族側関係者は「委員長は訴訟を前提とした相当因果関係まで言及する立場にない」と強く反発。広瀬さんがいじめを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、自殺に追い込まれたとの主張を崩さない。
一方、市は問題の教訓を踏まえて4月に「いじめ防止対策推進部」を新設し、弁護士や心理士ら計18人を配置する。市長権限で加害者の転校を市教委に求めるなど「是正勧告」の行使も検討する。今津市長は「二度と同じことを起こさない決意」としている。(山口真理絵、綱島康之)