平成28年3月3日朝日新聞熊本版
高1自殺、県教委「学校調査委の結論尊重」
「LINE」の書き込みや学校寮などでいじめを受けていた県立高校1年の女子生徒(当時15)が2013年に自殺した問題で、県教育委員会は2日、記者会見し、学校調査委が出した結論について「尊重する」とした。同様の事案があった場合の「重大事態対応マニュアル」については、速やかに見直す方針という。
この問題を巡って2月末、学校の調査委員会(委員長=園部博範崇城大准教授)が「いじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」との報告をまとめたが、遺族は「納得できない」として県条例に基づく第三者委員会の設置を求めることを検討している。
田崎龍一教育長は会見で「認定された五つのいじめを重く受け止めている」と謝罪。学校や県教委の対応の不備を認めつつも自殺との関係については「分からない」と述べた。この日、一部非公開で開かれた定例教育委員会では結論への異論はなかったという。
報告書は、自殺の公表が1年2カ月後と遅れたことが真相究明の障害になったと指摘。これを受け、今後改善する「マニュアル」には、同様の事案が起きた際、公表を原則とする指針を盛り込む方針という。
また、遺族は学校調査委に学校長と保護者代表がいることに反発していたが、田崎教育長は「学校の関係者が入らなければ調査がスムーズに進まないことも考えられる」。蒲島郁夫知事も同日の定例記者会見で「客観性、公平性に影響はしない」とした。
報告書は知事へ渡り、遺族が第三者委の立ち上げを求めた場合、知事に判断が委ねられる。(籏智広太)