平成30年11月8日付毎日新聞東京本社版夕刊
県・市教委が家族「中傷」のメール
山梨県北杜市で自殺を図った当時中学1年の女子生徒(14)がいじめを訴えたにもかかわらず、学校側が「重大事態」と判断しなかった問題で、今年7月に第三者委員会が設置された直後に、家族側を中傷しているとも受け取れる市教委作成の内部資料が家族に渡っていた。家族は「内容が一方的だ」と態度を硬化させており、事実解明の足かせとなっている。【野呂賢治】
毎日新聞が入手した資料によると、県教委義務教育課の課長補佐は7月、一連のいじめ問題に対する対処について「どうなるか分かりませんが(家族側から)また次の手が出てくると予想されます」などとする電子メールを市教委の職員に送信していた。
また、市教委は第三者委向けに作成した資料の中で、家族関係に課題があると繰り返し記述。学校の教諭が2月に女子生徒宅を家庭訪問した際の様子については「(家族が)繰り返し問い続け、女子生徒は追い詰められていた。ひたすら無表情で聞き流していた」などと記していた。女子生徒の家族はいずれの文章も情報公開請求を通じて市教委から受け取っていた。
いじめによる重大事態のガイドラインは、児童生徒を取り巻く状況を家族らに説明する際の注意事項として、「児童生徒やその家庭に問題があったと発言するなど、被害生徒・保護者の心情を害する言動は厳に慎む」と定めている。いじめの実態は第三者委などの公正・中立な調査によって確認すべきで「学校が軽々に発言すべきではない」としている。
女子生徒の家族は「文章を見ると、いじめに対する視点は見受けられない。ショックを受けた」としている。
県教委の課長補佐は取材に「本当に申し訳ない」、市教委は「条例に沿って開示した」としている。