平成31年3月14日付毎日新聞
福井中2自殺から2年 生徒の母親、手記で再発防止訴え「自分を責め続ける毎日」
母親の手記には息子を救うことができなかった後悔や苦しみがつづられていた=福井県池田町で2019年3月13日午後1時27分、岸川弘明撮影
福井県池田町立池田中学校2年の男子生徒(当時14歳)が男性担任らの厳しい指導や叱責を苦に自殺した日から14日で2年となるのに合わせ、生徒の母親が毎日新聞などに手記を寄せた。母親は「自分を責め続ける毎日です」と息子を失った悲しみをつづる一方、再発防止に取り組むとする町教育委員会の姿勢に疑問を投げかけた。
生徒は2017年3月14日朝、池田中の校舎から転落死した。外部有識者らでつくる町の調査委員会が作成した報告書では、担任の叱責について「(聞いている者が)身震いするくらい
怒っていた」などと他の生徒らの証言を引用している。
B5判の便箋1枚にしたためた手記で、母親はこの2年間で「息子を救うことができなかった後悔や気付けなかった苦しみ」に直面したと告白。遺族の思いを度々伝えてきた町教委の対応について「事実と向き合い、真摯に取り組んでいるのか疑問を感じずにいられない」とした上で、生徒を死に追いやった原因を見つめ直し、再発防止に生かすよう求めた。
生徒の遺影がある自宅の仏間で何度も下書きを重ねたという母親は、取材に「息子が生きていたらどうしてほしかったのか。心の中で話しかけながら字にした」と話した。【岸川弘明】
生徒の母親が寄せた手記の概要
忘れることのできないあの日から2年の月日がたちました。息子を救うことができなかった後悔や気付くことができなかった苦しみ、息子ともう会うことができないという悲しみなど、何とも言えない感情と戦ってきました。今でも胸には大きな穴があいたままで自分を責め続ける毎日です。
今までに何度か手記という形で筆を執り、町や教育委員会、学校に要望してきました。特に教育委員会には何度も直接伝えてきました。しかし2年たった今なお、事実と向き合い、真摯に取り組んで頂いているのか疑問を感じずにはいられません。なぜ息子が死を選ばなければならなかったのか、生きることに絶望してしまったのか、背景や原因についてよく考えて
頂きたい、そしてそこから見えてきた事柄を再発防止策に生かし、さらなる悲劇を生まないよう真剣に取り組んで頂きたい、そう心から願っています。