平成30年10月11日毎日新聞
第三者委「いじめ」認定 報告書改訂
兵庫県宝塚市で2016年12月、マンションから飛び降りて自殺した市立中学2年の女子生徒(当時14歳)について、市教委の第三者委員会がいじめがあったと認定し、他に「自死(自殺)に結びつくような事柄は見当たらなかった」との調査報告書をまとめたことが明らかになった。学校が積極的に関与すれば女子生徒の自殺は防げた可能性があるとも言及している。遺族らへの取材で判明した。
女子生徒は16年12月8日に死亡。日記に学校での人間関係の悩みをつづり、死亡前日には「もう死ぬ。生きる意味がない」などと書いていた。
報告書では、女子生徒が仲間に入ろうとして他の生徒からストーカー呼ばわりされたことや、部活で仲間外れにされたことをいじめと認定。部内で1年前にも不登校が発生しながら学校側が積極的に関わろうとしなかったと指摘した。そのうえで不登校になった生徒の訴えを真摯に受け止めていれば、「本件事態は回避しえたのかもしれない」と学校の責任に言及した。
第三者委は今年7月にいったん報告書をまとめて市教委に提出した。しかし遺族から「いじめと自殺の因果関係が分かりにくい」などの指摘を受け、今月1日付で改訂。「いじめ行為以外には特に自死に結びつくような事柄は見当たらなかった」と加筆し、いじめによる自殺を強く推認させる内容にした。
学校事件・事故被害者全国弁護団副代表の渡部吉泰弁護士は「完成後に報告書が改訂されるケースは初めてではないか。調査の過程で遺族との意思疎通が不十分だった可能性がある」と指摘している。
二つの報告書は共に非公表。第三者委の石田真美会長(弁護士)は「遺族から報告書の公表の許可を得ておらず、(改訂について)現段階ではコメントできない」としている。
女子生徒の父親(52)は「学校や市教委がいじめにしっかり対応してくれていれば、娘は死ななくてもよかったのではないか。なぜ対処できなかったのかを明らかにしてほしい」と話している。
【石川勝義、土居和弘】