平成30年11月8日付毎日新聞

第三者委に北杜市民 家族要望に背き

山梨県北杜市で自殺を図った当時中学1年の女子生徒(14)がいじめを訴えたにもかかわらず、市教委が「重大事態」と判断しなかった問題で、市が名前の開示を拒んでいる

第三者委員会の中に、同市に住む委員が複数含まれていた。委員の選定を巡り、女子生徒の家族は市の利害関係者を外すよう要望しているが、市教委は「市外の委員に公平な判断はできない」などとしている。

市教委は7月、いじめの事実関係を調べる第三者委を委員8人で設置。県教委などによると、市内の人権擁護委員や民生委員らが含まれているという。

女子生徒と家族は、東京電力福島第1原発の事故後、福島県から転居。同市には2013年に引っ越した。委員選定で、家族は「北杜市や北杜市民と利害関係がない人を選んでほしい」と要望。これに対し市教委は、女子生徒が通う中学や居住地区以外から選んでいるなどとし、「公平、中立性は確保されている」と回答した。

市教委作成の内部文書によると、市教委と県教委は7月、第三者委設置について意見交換。人選の見直しも議論したが、「委員になっていただいた方や職能団体に対して失礼にあたり、今後に影響する」と結論づけた。

市教委の堀内正基教育長は市役所で開いた6日の記者会見で、第三者委の人選を家族側に開示しない理由を問われ、「慎重審議のため」と述べた。

いじめや体罰の被害者家族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」代表世話人の内海千春さんは「いじめの事実関係は被害者側の協力があって初めて解明できる。(市教委が公平・中立といっても)委員の名前さえ分からない第三者委を被害者側が信頼するはずがない。あり得ない対応だ」と指摘している。【野呂賢治】

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