荒尾市の中1いじめ 最終報告書受け母親が会見
2021年7月18日朝日新聞
会見する女子生徒の母親=2021年7月16日午後1時17分、熊本県荒尾市宮内出目、大木理恵子撮影
熊本県荒尾市立中の女子生徒がいじめを受けた問題で、「市いじめ防止対策審議会」が最終報告書を提出したことを受け、女子生徒の母親が16日、市内で記者会見した。審議会は、女子生徒が自殺を図ったことといじめの因果関係を認めなかったが、女子生徒は「いじめが原因」と話していることを明らかにした。
市教委などによると、女子生徒は1年生だった昨年10月と12月に自殺を図り、今年2月に転校した。審議会は医師や弁護士ら第三者による組織で、市の諮問を受けて事実関係を調査。13日に出した最終報告書で、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷など4件のいじめを認定したが、自殺未遂との因果関係は認めなかった。
会見で母親は、報告書には、昨年10月からあったスクールカウンセラーとの面談で、女子生徒からいじめの訴えはなかったと記載されているが、実際は「いじめられていて苦しい」と話していたことなど、事実と異なる点があると指摘。いじめをした生徒が謝罪したとの記載もあるが、謝罪の言葉はなかったという。
審議会から聞き取りがなかったことについて、女子生徒が「命はあるのにどうして聞き取りがなかったのか」と疑問を示していることや、自殺未遂といじめの因果関係が認められなかったことについても「大人の勝手な判断。いじめがあったから楽になるため死にたくなった」と否定していることを明らかにした。
また母親は、報告書の内容を受けて「勉強が遅れるのが気になって(学校に)行っていた。それを学校に来ていたから学校には責任がないという書き方をされているのがとても悲しい」「いじめが原因で楽になりたい、死にたいという衝動に駆られた。部活も大好きだったフルートもやめた。それで転校まで何で私がしなければならなかったのか、いまだにわからない」と訴える女子生徒のコメントを代読した。コメントには「心を殺されたまま、傷は残ったままこれからずっと生きていく。これには変わりはない」「結局誰も守ってくれないということがわかった」といった心情もつづられていた。
母親は市教委などの対応について、「また同じような生徒が出るのではないかと深刻に受け止めている。市にはいじめの芽を摘むことに力を入れてもらいたい」と述べた。母親は、再調査を要望するかどうか、検討しているという。(大木理恵子)