平成29年7月27日朝日新聞大分版
外部委「安全配慮義務に問題」 岩田中の生徒死亡
大分市の私立岩田中学校で昨年、中学3年の男子生徒が授業中に倒れて死亡した問題で、同校の外部調査委員会は教員の対応について、一部に「安全配慮義務上、問題があった」とする報告書をまとめた。
死亡との因果関係は不明とした。
同校が25日公表した。
亡くなったのは、柚野凜太郎(ゆのりんたろう)さん(当時14)。昨年5月、体育館でシャトルランの体力測定中に倒れ、意識不明で病院に搬送。2日後に心室細動で死亡した。
両親が外部による調査を要望していたことをうけ、医療、教育など各分野の5人による調査委を同校が設置。
昨年11月~今月、委員会を9回開き、両親、教職員、事故当時に現場にいた生徒らに聞き取りをした。
報告書は、柚野さんが倒れて教諭が事務室に連絡に行き、蘇生につながる胸骨圧迫を始めるまでに40秒ほどかかったり、人工呼吸をしていなかったりしたとして、応急処置が適切でなかったと指摘。「安全配慮義務上、問題があった」と結論づけた。
一方、安全配慮義務上の問題と死亡に因果関係があったかは不明とした。
同校は報道機関向けの文書で、「教諭の判断に法的なレベルで問題があったとは考えていない」としたうえで、安全配慮義務上の問題について、「委員会の認識が誤っていた可能性がある」と外部委の指摘に反論。ただ、「不備や改善点があった点については真摯に受け止め、今後克服していく」としている。
父親の真也さん(43)は取材に、「事故後の初期対応のまずさが証明された」とした上で、「息子が倒れる前のことをもう少し明らかにしてほしかった」と話した。(女屋泰之、菊地洋行)