平成29年8月10日中日新聞
三重県立高でSNSいじめ 女子生徒が県を提訴
高校の同級生からインターネット交流サイト(SNS)に悪口を書き込まれるなどのいじめを受けて不登校になり、その後も学校側が適切に対応しなかったとして、津市の県立高校3年の女子生徒(17)が三重県を相手取り、約170万円の損害賠償を求める訴えを津地裁に起こしていたことが分かった。
訴状などによると、女子生徒は高校1年生だった一昨年10月ごろ、所属していた部活動の複数の同級生から無視や悪口のいじめを受けて不登校になった。2年生に進級するとSNSのツイッターに「登校していないのにどうして進級できたのか」と投稿され、3年生の現在も登校できない状態が続いており、高校を管理する県に生徒指導を怠るなどの注意義務違反があったとしている。
女子生徒の父親らによると、両親は娘が不登校になって間もなく学校に対応を求めたが、学校は「いじめではない」などとして応じなかったという。
両親は昨年末、三重県警に被害届を出し、県警はツイッターに女子生徒を中傷する文言を投稿したなどとして、同級生の女子1人を侮辱容疑で書類送致した。津家裁は今年5月、この生徒を保護処分に付さないとの決定を出している。
女子生徒は7月、いじめが原因の「心的外傷後ストレス障害」と診断された。父親は「学校側はいじめを隠蔽していたとしか思えない。同じ被害者を出さないためにも対応を改めてもらいたい」と話している。
校長は取材に「学校として残念。(SNS以外の)いじめの有無については現在も調査中で慎重に確認したい」と説明した。県教委に対しては昨年9月、女子生徒に関するSNSへの投稿について「いじめの重大事態」として報告したという。
県教委の小林宏行子ども安全対策監は「SNSへの書き込みについては、いじめの重大事態として認定している。
それ以外の事案への対応が適切であったかどうかは、訴訟の内容にかかわるのでコメントできない」としている。