平成30年1月25日中国新聞
学校側請求棄却求める
三原組み体操訴訟地裁福山で弁論
三原市館町の広島大付属三原中3年の男子生徒=当時(14)=が2016年6月に死亡したのは運動会の組み体操が原因として、同市の遺族が広島大(東広島也に約9600万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、広島地裁福山支部であった。大学は請求棄却を求めた。組み体操後の死亡を巡る訴訟は、確認できる限り全国2例目。意見陳述で生徒の母親は大学に対し「息子の命をどう守っていくべきだったのか、しっかり見つめてほしい」と主張。死亡後、「大学から対応を拒否され続け、傷ついた」と訴えた。
大学側代理人の増田義憲弁護士は「事故はなかったとして請求の棄却を求める」と争う姿勢を示した。
訴状によると、遺族は組み体操の「移動ピラミッド」(3段騎馬)の演技後にピラミッドが崩落したと主張。生徒の後頭部に衝撃が加わったとしている。事故後も学校が原因の究明や安全対策の検証、保護者への説明を怠ったとした。
運動会は16年6月18日にあり、生徒は組み体操などに参加。20日未明に自宅で体調が悪化し、病院に搬送され、同午前5時50分ごろに脳内出血で死亡した。(高本友子)
原告側か示したビデオ画像。奥右に退場後、組み体操が崩落したとする
遺族側が映像公開「崩落」を主張
男子生徒の遺族と蜃に代理人の渡部吉泰弁護士は24日、運動会の組み体操で男子生徒の上の生徒が落下しているとするビデオ映像を公開し、「騎馬は崩れている」と主張した。大学側は「崩落しておらず、事故はなかった」としている。
口頭弁論後に遺族側か、福山市の広島弁護士会福山地区会館で、約10分間の組み体操の終盤の映像を示した。死亡した生徒は、9人で組む移動ピラミッド(3段騎馬)の中段。騎馬は約40肩進み、退場門付近で上段の生徒が下側に姿を消している。
渡部弁護士は「崩れる前から左右にふらつき危険な状態だった。周囲の教員は漫然と見ている」と学校側の責任を指摘した。ほかにも、上段の生徒が落下して一いるように見える騎馬が複数あるとした。映像は、遺族が大学側から提供を受けた。崩れた現場が映っているとして証拠提出した。
広島大は「現時点で映像を確認しておらずコメントできない」としている。
教育評論家の尾木直樹さんは「事故の可能性がゼロと言えない状況にある以上、学校側に調べる責任がある。それが今後の生徒の安全確保にもつながる」と話している。(山本庸平)