平成2829日河北新報

<仙台いじめ自殺>市と加害生徒らに調停申し立て

  仙台市泉区の館中1年の男子生徒=当時(12)=が2014年9月、いじめを苦に自殺した問題で、遺族が市と複数の加害生徒に対し、事実関係の究明と責任の所在の確認を求める民事調停を仙台簡裁に申し立てたことが8日、分かった。第1回調停は今月中に開かれる。
 申し立てによると、男子生徒は14年4月に館中に入学。同じ学年の男子生徒から
仲間外れや悪口、からかいなどのいじめを受け、同年9月に自殺した。市教委の第三者委員会がまとめた報告書は、いじめには同級生の男子生徒11人が関与したと指摘している。
 遺族側はこの報告書をベースに、入学直後からいじめが始まり、部活を休んだことを「仮病」「サボり」と言われたり、級友らとプールに行った際、男子生徒だけ置き去りにされたりしたと主張している。
 学校の責任については、保護者から6回の相談を受け、加害生徒に謝らせる「謝罪の会」を2度開くなどしたが、担任教諭は深刻な状況と考えず、市教委にも報告しなかったため、組織的な対応が取れなかったとしている。
 遺族側は「市は男子生徒が自殺する危険性を十分予測できたのに適切な措置を取らず、精神的に追い込んだ。加害生徒からは今も謝罪など誠意ある対応はなく、調停の場で事実関係や責任の所在を明らかにしたい」と主張する。
 市文書法制課は「申し立てがあったのは事実だが、調停は当事者同士の話し合いによる非公開の手続きであり、内容を明らかにすることは控えたい」と話した。
 問題をめぐっては、学校側が自殺直後に「転校した」と虚偽説明し、市教委も1年近くいじめ自殺を公表せず、混乱が広がった。市教委の第三者委員会は現在、生徒と保護者を対象に追加調査を実施している。

[民事調停] 争いを話し合いで解決する裁判手続き。非公開で進められ、訴訟よりも手続きが簡単で費用も安い。3カ月程度の短期間で終了するなどの利点もある。調停が不成立となった場合、訴訟を提起することができる。

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