2022年11月28日付神戸新聞NEXT
17年前のいじめ「神戸市教委が意図的に隠蔽」第三者委素案 「ない」としていた聞き取り文書も存在
17年前、神戸市立小学校で当時5年の男性(28)が同級生から暴行などの被害に遭いながら、神戸市教育委員会がいじめと認めてこなかった問題について、第三者委員会が「市教育委員会は学校作成の記録を意図的に隠蔽した」とする報告書の素案をまとめたことが28日、分かった。被害者男性の父親(59)は同日、神戸市内で会見し、「潔く認めて反省してほしい」と市教委に求めた。
男性は2005、06年、複数の同級生から暴力を受け、7人に約50万円を取られるなどして転校を余儀なくされた。07年には同級生3人の保護者に損害賠償を求めて提訴し、一、二審ともいじめ行為が認定され勝訴した。
一方、市教委は「保護者の意向で被害者本人から十分な聞き取りができていなかった」と主張し、裁判が終わってもいじめと断定していなかった。
20年11月からは市教委が設置した第三者委が調査に着手。今年6月、市教委は「ない」としていた被害者本人への聞き取り文書の存在を一転して認め、「公文書に当たらないため不開示にしていたが、対応に問題があった」と説明した。
父親によると今回の素案は、中間報告書として第三者委が今月18日に市教委と被害者家族に渡した。「裁判所が事実認定したいやがらせ行為、暴行行為、たかり行為の全てについて、いじめとの認定が可能である」と明記し、「市教委が、学校が作成した資料を意図的に公文書から除外した行為は隠蔽行為である」と指摘。さらに「資料の秘匿という違法行為を隠蔽するために虚偽答弁を重ねた非常に悪質な行為」とした。
会見で父親は、「(第三者委は)よく調べてくれた。市教委は意図的に隠蔽したことを認めるしかないし、しっかり説明してほしい」と主張。「これは私たちだけの問題ではない。今回報告書で隠蔽が明記されたことが、全国で同じように苦しんでいる方たちの参考になれば」と力を込めた。
一方市教委によると、素案について第三者委から意見を求められているという。「対応については今後検討していく。第三者委の最終報告までコメントは控える」としている。(綱嶋葉名)