平成28年3月31日 NHK 大阪放送局
“自殺予測できたと言い難い”
4年前、兵庫県川西市の県立高校に通っていた男子生徒が自殺したことについて両親が、同級生のいじめが原因だったとして、賠償を求めた裁判で、神戸地方裁判所は30日、「いじめが原因だったが、自殺を具体的に予測できたとは言いがたい」として、同級生と兵庫県にあわせて210万円の支払いを命じました。
平成24年、兵庫県川西市の県立高校に通っていた2年生の男子生徒が自宅で自殺したことについて、両親は、同級生から1日に数十回「虫」と呼ばれるなどのいじめを受けたことが原因だったとして、同級生3人と当時の校長などの学校関係者、それに兵庫県に、およそ8900万円の賠償を求めていました。
裁判で、同級生は、「いじめではなく、からかうつもりだった」などと主張していました。
判決で神戸地方裁判所の伊良原恵吾裁判長は「いじめが自殺の原因だったことに疑いを挟む余地はないが、男子生徒の自殺を具体的に予測できたとは言いがたい」として、同級生3人と兵庫県に、あわせて210万円の支払いを命じました。校長など学校関係者については、県が責任を負うべきだとして訴えを退けました。
男子生徒の自殺をめぐっては、県の教育委員会が設けた第三者委員会が、いじめがあったと認めた一方、「自殺と直接関連づけるのは難しい」とする調査報告書をまとめています。
判決について、男子生徒の母親は「満足な判決ではありませんでしたが、一生懸命、闘った姿を息子が天国から見ていてくれたと思います。今回の裁判をきっかけに、子どもたちが安心して学校に通えるようになってほしい」と話しました。
一方、兵庫県は「判決内容を検討し、今後の対応を考えたい」としています。