平成29年6月3日河北新報
<仙台中学生自殺>児童生徒と個別面談へ
校長らにいじめや体罰の防止を呼び掛ける奥山市長
仙台市教委は2日、全市立学校などで夏休み前半までをめどに、担任教諭が児童生徒と個別面談する方針を明らかにした。宮城野区の市教育センターであった緊急合同校長会で各校長に指示した。
市内では、2年7カ月間に市立中学生3人がいじめ絡みで自殺する問題が相次いだ。個別面談は児童生徒と担任教諭が直接向き合い、いじめなどに適切に対応することで自殺防止を図るのが狙い。
合同校長会には今回初めて、奥山恵美子市長と文部科学省の担当者が出席した。奥山市長は講話で、4月下旬にいじめを訴えて自殺した青葉区折立中2年の男子生徒が教員による体罰も受けていた問題に言及。
「教員一人一人の在りようが問われている覚悟をもってほしい」と呼び掛けた。
折立中の問題で市教委は当初、いじめの重大事態に位置付けなかった。文科省の松林高樹生徒指導室長は「事実関係が確定した段階ではなく、『疑い』が生じた段階で重大事態として調査する必要がある」と強調した。
<宮城県議会>いじめ防止条例検討開始
県議会のいじめ・不登校等調査特別委員会が2日、県議会棟で開かれ、いじめを巡る防止対策の推進や自治体、学校、保護者の責務などを示した条例制定の検討を開始した。
仙台市で起きた中学生のいじめ自殺問題を踏まえ、委員からは「再発防止のため、実効性のある条例が必要」「条例制定でいじめを許さないという強いメッセージを発信するべきだ」などの意見が相次いだ。
一方、「既存の子育て条例を肉付けする形でも対応できるのではないか」と慎重な見方もあった。吉川寛康委員長は「条例制定は一つの選択肢。拙速に進めず、現場の実情を調査した上で効果的な対策を検討したい」との考えを示した。
いじめ防止などに関する条例を巡っては、北海道や東京など6都道県が独自の条例を制定している。