【10月16日付 朝日新聞大阪本社版】

2011年、大津市立中学2年の男子生徒(当時13)がいじめを受け自殺した問題を受け、市教育委員会は15日、子どもの心身に重大な被害をもたらしたいじめなどに関して学校が児童生徒に実施するアンケート結果について、被害者側に開示する基準案を策定し、明らかにした。いじめと確認すれば加害者名を被害者側に提供すると明記している。
市教委によると、いじめ防止対策推進法は被害者側への対応について「必要な情報を適切に提供」と規定しているが、提供する情報の範囲は定めず、これまで開示基準を定めた自治体もないという。文部科学省によると、各教委が個別のケースに応じて判断している。
市教委は、被害者側にとって加害者名を「事実に関する情報の要素として不可欠」と判断。
いじめを助長したと考えられる児童生徒の氏名も「必要な場合は伝える」とした。アンケートに答えた児童生徒の名前は原則提供せず、伝聞情報は事実確認できなければ伝えないとした。
中2の男子生徒が自殺した11年のいじめ問題で、全校生徒へのアンケート結果を情報公開請求した遺族に対し、市教委は大半を黒塗りで開示。遺族が市を相手取った損害賠償請求訴訟で、大津地裁は14年1月の判決で「個人情報保護条例の解釈を誤った違法性があった」と認定した。
開示基準は今月中に策定を終え、各校に周知する。(奥令)
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【京都新聞】

いじめ調査、被害者に開示へ 大津市教委、加害者名も

いじめなど重大事案が起きた場合に学校が子どもたちに実施する調査について、大津市教委は公表基準を新たに設ける。特に、被害者やその保護者などに対しては情報公開請求を受ける前に事実関係を伝えるほか、いじめなどの行為が確定すれば、被害者救済の観点から被害者に対し加害者氏名などの情報も開示する。
学校による調査結果は「今後の調査に支障が出る」などとして被害者に事実関係すら開示しないケースがあり、全国的に問題となっている。公表基準を設けるのは大津市が初めてで、近く決定し各学校に伝える。
公表基準案によると、公表対象は、いじめによる自殺や心身への被害、不登校などのほか、体罰や恐喝、学校内での事故など、重大事案についての調査結果。
被害者側に公表する範囲は、いじめなどの事案のあった時期や内容、加害者の氏名、学校の対応など、調査で明らかになった事実関係。被害者本人の個人情報なども伝える。伝聞などで事実を確認できなかった情報や、調査に回答した子どもの氏名は開示しない。
被害者側の意向に沿った調査とするため、調査前に調査実施の承諾や情報開示の範囲、公表時期などについて、被害者側と協議する。調査対象となる子どもの保護者にも情報開示の範囲などを事前に説明する。
2011年10月に市内の中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺し、大津市教委はその際の調査結果を
事実上非開示とした。遺族が情報開示を求めて訴え、大津地裁が14年1月に違法性を認定。市教委は「原因を知りたいという遺族の心情を損なった」と謝罪し、文部科学省も明確な公表基準を策定していない
ことなどから、公表基準づくりを進めていた。

■全国基準になり得る
大津いじめ事件で遺族の代理人を務める石田達也弁護士の話 公表範囲は全国的にばらつき、どこに住んでいるかで著しく差がある。大津市は開示できる最大限の範囲を示したといえ、意義は大きい。
文科省とも協議の上で作成したといい、全国基準になり得る。被害者救済の視点を入れたのも画期的だ。
被害者に加害者情報が開示されないと、被害者側は訴訟も、対応を求めることもできなかった。加害者情報
開示には慎重な声もあるかもしれないが、開示は加害者にとっても事実に向き合って内省し、更生する
きっかけになるはずだ。
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【NHK大津放送局】

大津市がいじめ調査公表基準案

大津市教育委員会は、いじめによる自殺など子どもたちに大きな影響が出た場合に行う調査について調査対象となる事案や結果の公表の基準などをまとめた案を示しました。
4年前、大津市で中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した問題では、学校が全校生徒に行ったアンケートの結果を生徒の保護者に開示した際教育委員会がほとんどを黒塗りにするなどしたため遺族が精神的な苦痛を受けたなどとして賠償を求める訴えを起こし、市が敗訴しています。
また、生徒の自殺がきっかけとなって作られた「いじめ防止対策推進法」ではいじめによる自殺など子どもに重大な事態が起きた場合、学校などが調査を行い、事実関係を保護者や子どもに伝えることを義務づけています。
これらをふまえ、大津市教育委員会は、学校によって対応にばらつきがないよう調査の対象や結果を公表する際の基準を作り、その案を15日の教育総合会議で初めて示しました。
案では、調査の対象をいじめによる自殺だけでなく、暴行や恐喝、体罰それに、学校生活に関わる事故で原因がわからなくても子どもの命や心身に重大な影響が生じた疑いがある場合などに広く適用するとしています。
そして、結果については、個人情報を判別できないよう転記して資料の一覧を提供するなど極力、開示する仕組みにしたとしています。
教育委員会によりますとこうした基準の作成は、全国でも珍しいということです。
大津市教育委員会の井上佳子教育長は、「この基準を作ることで、どの学校でも同じレベルで公表できて
大変意義がある」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/2065662671.html?t=1444983894439

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