【10月10日付 京都新聞】

息子の自殺から間もなく4年を迎えるにあたり心境を語る父親(大津市役所)

いじめを苦に2011年に自殺した大津市の中学2年の男子生徒=当時(13)=の父親(50)が9日、大津市役所で会見した。男子生徒の死を受け、国はいじめ防止に向け法整備もしたが、依然としていじめが原因とみられる自殺が全国で相次ぐ。父親は「息子が亡くなった時と変わらない現状が今なお存在している」と、やりきれない胸の内を明かした。11日には、男子生徒の4回目の命日を迎える。
大津市の事件以降、国は13年にいじめ防止対策推進法を施行し、全国の自治体や教育委員会にいじめ防止基本方針の策定など対策を求めてきた。しかし、今年7月に男子中学生が自殺した岩手県矢巾町では、町教委が基本方針を策定したのに生かされないなど、いじめを防げず生徒が命を落としたとみられるケースが繰り返されている。
父親は同町をはじめ、事件の起きた各地の教育委員会と事件を防ぐため話し合いを続けている。
その中で「なぜかどこでも教師は事案を認識していたのに抱え込んでいたり、学校長や教育委員会の責任が問われないことが多い」と指摘。問題点として「いじめは発生してはならないという上からの圧力があるように強く感じた」という。そのうえで「いくら法整備が行われても、教育従事者の意識が変わらなければ生徒の命を救うことはできない」と訴えた。
会見には越直美市長らも出席。来年9月の同法見直し時期を見据え、遺族、市、市教委が連携し、国に対策の実効性を高めるため法改正などを求める方針も表明した。
事件をめぐっては、大津家裁が14年3月、いじめたとされる同級生3人のうち、2人を保護観察処分、
1人を不処分とした。民事裁判で損害賠償を求めた遺族は今年3月に市と和解したが、同級生側との訴訟は続いている。
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【朝日新聞滋賀版】

「法が形骸化」遺族が会見 いじめ自殺から4年

会見で心境を語る男子生徒の父親=大津市役所

いじめを受けた大津市立中学2年の男子生徒(当時13)が自殺して11日で4年になる。生徒の父親(50)が9日、越直美市長らと大津市役所で会見し、「いじめが原因で命を落とす子どもは後を絶たない。息子が亡くなった時と変わらない現状が今なお存在している」と思いを語った。
父親は、全国で起きるいじめ問題の現場に足を運び、遺族らと連携して教育委員会との交渉にあたるなどしている。
会見では生徒の自殺などを受けて2013年に成立した「いじめ防止対策推進法」に言及。今年7月、岩手県矢巾町でいじめを受けた中学2年の男子生徒が自殺した問題を挙げ、「法が命を守ってあげられなかった」「法と施策は簡単に形骸化することが明らかになった」と述べた。
また山形県天童市でいじめを受けた中学1年の女子生徒が14年1月に自殺した問題で、今月5日に第三者委員会の報告書がまとまったことに触れ、「第三者委が調査を終えるのは1年を超えるケースがほとんど」と指摘。国に対し、重大事案が起きたときの第三者委のすみやかな設置を求めていく方針を明らかにした。
「息子に背中を押されるように真相究明を求め、国への法整備を求めてきた」と4年を振り返り、「なぜ息子を救えなかったのか」と涙をぬぐう場面もあった。

■「徹底して子の声聞く」越市長
「組織や制度は変わったが、まだまだ、教員一人一人の意識が変わるまで徹底して子どもの声を聞く」。
越市長は会見で、引き続きいじめ対策を重要課題として取り組む決意を述べた。
市教委はいじめにつながる子どもの小さな変化を見落とさないように、13年度から市立小中学55校に
「いじめ対策担当教員」を配置した。忙しい学級担任をさせず、相談内容を市教委に伝えて助言を仰いだり、協議のまとめ役をしたりする。各校ではいじめ対策委員会を常設し、教員間で子どもの情報を共有している。
また、いじめ問題で市教委の事実究明が後手に回り批判を受けたことから、市長部局に「いじめ対策推進室」を設置。弁護士や臨床心理士ら5人が電話や手紙などによる相談にあたる。
市教委によると、市内の市立小中学校のいじめ認知件数は11年度からの4年で、60件から423件と増えた。
市と市教委は、教員の問題意識が高まったことや、子どもが相談しやすい環境になったことが増加の要因と
みている。会見に同席した市教委の桶谷守・教育委員長は「まだ道半ば。いじめ問題に組織で対応できる態勢をつくっていく」と述べた。(奥令)

〈大津いじめ問題〉
男子生徒の自殺から9カ月後の12年7月、中学が実施した全校生徒へのアンケートに「自殺の練習をさせられていた」との記述があったことが発覚。市の第三者調査委員会は13年1月、「いじめが自殺の直接的要因」とする報告書をまとめた。今年3月、遺族が市や元同級生側に損害賠償を求めた訴訟で、遺族側と市が和解。元同級生を相手取った裁判は現在も続いている。
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【読売新聞滋賀版】

大津中2自殺4年 いじめ、教育者が意識を ◇父親が会見「現状変わらず」

いじめを受けていた大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺し、11日で4年となるのを前に、男子生徒の父親(50)が越直美市長らと9日、市役所で記者会見し、再発防止に向けて教育現場の
意識強化と法制度の見直しを求めた。(池内亜希)
会見の冒頭、父親は「息子が亡くなってから『いじめで命を落とすのは僕を最後にしてほしい』と言われているような気がして、いじめの真相究明や国への働きかけをしてきた」と振り返った。
大津市の事件後も、いじめによる自殺は後を絶たず、父親は各地で遺族を支援してきた。いじめを訴えていた中学生が7月に自殺した岩手県矢巾町に赴いた際は、息子の死がきっかけで2013年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」に基づく基本方針が、町や学校で作られていたにもかかわらず、悲劇が防げなかった現状を目の当たりにした。
会見では、「息子が亡くなった時と変わらない現状が今なお存在している。いくら法整備が行われ、素晴らしいマニュアルが作られても、教育者の意識が変わらなければ命は救えない」と強調。
文部科学省が結果を公表しているいじめに関する調査についても、「学校が『問題は解決した』と判断すれば、被害に遭っている子どもが『解決していない』と思っていても問題としてカウントされない」と指摘し、子どもたちのサインを見逃さず、校内や関係者間で問題を共有するよう求めた。
重大事案発生時、外部有識者らでつくる「第三者調査委員会」が、各地でスムーズに設置されていないことにも
言及。同法の見直しに向け、設置要綱のモデルを大津市と検討し、年内にも国へ示していく決意も語った。
市教委関係者らと会見に同席した越市長は「法整備後も、大津市の反省、教訓が生かされていない実態がある。
法改正の必要性を共に訴えていきたい」と述べた。
◇認知、最多1331件 「教員が発見」3割未満
文部科学省の児童生徒の問題行動調査(2013年12月現在)によると、県内の国公私立小中高、特別支援学校のいじめ認知件数は、過去最多の1331件(前年893件)、1000人あたりで7・8人(同5・3人)となっている。
調査では認知件数の95%で「問題が解消している」と報告されているが、認知されないまま深刻化する事態も考えられ、引き続き教委や学校、家庭などが連携した対応が必要だ。常に子どもたちが相談しやすい環境を整えることも重要になる。
県内では、いじめ発見のきっかけで、「教職員らが発見」が28・2%(全国68・1%)と低く、県教委は「早期にいじめの芽を摘むため、家庭などと連携し、更に子どもたちとの信頼関係を築いていきたい」としている。(猪股和也)
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【NHK大津放送局】

いじめ自殺4年で遺族が会見

大津市でいじめを受けた中学2年の男子生徒が自殺してから11日で、4年になります。
これを前に男子生徒の父親が会見し、全国でいじめが原因で子どもが亡くなる事案が絶えないことについて、「子どもの命を救うはずの法律や施策ができても、簡単に形骸化している」として、今後、大津市などとともに国に法律の見直しを要望していくことを明らかにしました。
いじめを受けた中学2年の男子生徒が自殺してから4年になるのを前に、9日、男子生徒の父親が、大津市
役所で会見を開きました。
この中で父親は、「4年がたちましたが、なぜ救えなかったのか、先生が伝えてくれていたら救えていたのではないかと今でも思い出します」と述べました。
また、おととし「いじめ防止対策推進法」が成立したにもかかわらず、いじめを受けた子どもの自殺が相次いでいることについて触れ、「息子が作った法律だと思いたいが、同じような状況は変わらずにあり、亡くなった子どもや遺族に申し訳ない気持ちです。同時に法律や施策が簡単に形骸化することが明らかになりました」と述べました。
その上で、「すばらしい方針が作られても教育従事者の意識の変化がなければ命を救うことはできず、命の
守られ方が地域によって違うのが実情です」と法律を生かせていない教育現場を批判し、市や市の教育委員会とともに、実効性のある法律への見直しや具体的なガイドラインを、国に提言していくことを明らかにしました。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/2065384311.html?t=1444429653297

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