2021年4月15日付神戸新聞NEXT
「廊下で楽器100回たたけ」顧問が叱責、絶望の女子生徒が校舎から転落 宝塚市教委報告書
宝塚市役所=宝塚市東洋町
宝塚市立中学校で2019年、部活動中だった2年生の女子生徒(当時)が校舎から転落した問題で、同市教育委員会は15日、女子生徒が吹奏楽部の顧問だった30代の男性教諭から強く叱責され、恐怖感や絶望から突発的に飛び降りたとする調査報告書を公表した。
問題を巡っては、市が設けた第三者委員会が昨年3月、非公表の報告書を作成。兵庫県教委は顧問を停職1カ月の懲戒処分とした。女子生徒は体の複数箇所を骨折し、手術を受けて現在も通院しており、生徒の母親は「処分が軽すぎる」として公表を求めたという。
報告書によると、女子生徒はコンクールに向け音楽室で練習中、顧問から「トライアングルの音が合っていない。廊下で100回たたいてこい」と厳しい口調で退室を命じられた。廊下で練習したがうまくできる気がせず、戻っても再び叱られると感じ校舎から転落。駆け付けた顧問に「ごめんなさい」と繰り返した。
顧問は機嫌に波があって他の生徒も怖がっており、女子生徒は別の生徒が怒られる様子を見てストレスや恐怖心を感じていたという。第三者委は「顧問の指導が直接原因になったことは否定できない」とした。
一方、市教委は「精神的な体罰」に当たるとして、県教委に男性教諭の懲戒処分を厳しくするよう求めたが見直されなかった。
女子生徒の保護者は15日、手記を公表し「教諭が軽い処分ですぐ復職し、強い憤りを感じた」と説明。「『自分で落ちた』という程度の扱いで、事件が終息してしまったように感じた。理不尽に叱られてどれほどつらかったか」とつづった。(西尾和高)