【10月7日付 朝日新聞宮城版】
仙台市泉区の市立館中学校1年の男子生徒が昨秋、いじめを受けて自殺した問題で、中学校は6日、全校集会を開き、在校生に初めて事実を説明した。「男子生徒は転校した」と事実と異なる説明をしていたことなどについて謝罪した。
全校集会は午前9時前から、体育館で非公開で開かれた。集会後に記者会見した菅原光博校長によると、
校長が男子生徒の名前を明らかにしたうえで、亡くなった経緯を説明し、「本人が苦しく心を痛めていたことに、学校が十分に対応できず申し訳なかった」と話したという。
遺族の要望で、これまで事実を伏せていたことや、「転校した」と伝えたことについても謝罪。生徒たちは静かに聞き、涙ぐむ子や「具合が悪い」と訴える子もいたという。
館中では今後、校舎の一角に献花台を設け、生徒や保護者が手を合わせられる場所にする。道徳の授業やスクールカウンセラーを交えた取り組みの内容をこれまで以上に深め、生徒会でもいじめ問題に取り組むという。
ただ、今回の事案を授業などでどうとり上げるかについては、「検討中」と述べるにとどめた。
集会に参加した3年の女子生徒(15)は、自分たちの学校だといううわさが広がっても、説明しない学校に不信感があった。「もう少し早ければよかったけど、遺族の意向なら仕方ない」別の3年の女子生徒(15)も「遺族の人が嫌と言っているものを無理やり公開できない」と学校に理解を示した。
「学校全体が二度とこんなことを起こしてはいけないという空気になれた」と話す3年の男子生徒(15)もいた。
一方、2年の男子生徒(14)は、用意した紙を読み上げる校長の姿に違和感を覚えたという。「本当に反省していたら覚えてくるはず。『遺族の意向』と連発するのも、責任逃れのように感じた」と納得できない様子だった。
2年の女子生徒(14)のクラスでは、「隠していた学校はおかしい」と担任に問いただす生徒もいたという。女子生徒の母親は「うそをついても謝ればいいという態度は、子どもがまねをする。今さら受け入れられない」と憤った。
■いじめ自殺と公表をめぐる動き
<2014年>
5月 いじめを受けた男子生徒が休みがちになる
9月 男子生徒が自殺
11月 第三者委員会が調査を開始
<2015年>
6月 第三者委が仙台市教育委員会に調査結果を答申
8月21日 市教委が記者会見し、男子生徒の自殺を公表。その後、学校が同級生に「転校した」と説明していた
ことが判明
9月 市議会で、学校内での公表を求める声が相次ぐ。遺族も校長に公表を要望。
10月3日 教育長や校長が遺族と会い、公表で同意
6日 全校集会で生徒に説明