平成30年11月16日付朝日新聞西部本社版

いじめは「解決」、同じクラスに 高3男子が再び不登校

北九州市にある福岡県立高校3年の男子生徒が、同級生にいじめられたとして登校できなくなっている。1年の時に同じ男子生徒から暴行されるなどして学校に通えなくなったが、学校はその後、「解決した」とみなし、翌年から2人を同じクラスにしていた。

保護者や学校によると、生徒は1年の時、同じ部活の同級生3人から首を絞められたり、「殺す」などと言われたりして、約1カ月、登校できなくなった。

学校はいじめがあったとして、3人を指導し謝罪させ、職員会議で報告して見守りに務めた。国の方針では、被害生徒が一定期間に連続して欠席した場合などは「重大事態」ととらえ、第三者を入れた調査が望ましいとしている。だが暴行によるけががないことなどから、学校と県教育委員会は重大事態とは認定しなかった。

翌春、生徒と加害生徒3人のうちの1人が同じクラスになった。実習や体育で同じ班に分けられることもあり、生徒は「死ね」「学校に来るな」などと言われたという。3年でも同じクラスになり、今年10月から再び登校できなくなった。

生徒側は悪口や嫌がらせが2年間続いたと訴えており、脅迫や名誉毀損事件として県警に相談している。

学校は取材に、同じクラスにしたのは「1年の時のいじめは解決したと判断していた。(1クラスしかない)同じ科を志望したため」と説明。1年時のいじめの資料は職員会議などの説明に使った後、廃棄していたという。国の方針では、いじめに関する資料は進学・進級などの際に引き継ぐこととされている。

学校では月に1回、いじめの有無などを尋ねるアンケートをしており、生徒は登校できなくなる直前の今年10月も「ない」と回答。生徒への見守りも「十分だったと考えている」とした。

県教委高校教育課は「引き継ぎには甘いところがあった」としたが、同じクラスにしたことは「進級時などに被害生徒側から訴えがなく、対応に大きな問題はなかった」と説明した。

再び登校できなくなったことについては「調査が続いており、今後、重大事態となる可能性もある」との認識を示した。(狩野浩平)

 いじめ問題に取り組むNPO・ジェントルハートプロジェクト(川崎市)の小森美登里理事の話

表面的に謝罪させるだけでは、ばれないようにいじめは続き、被害者は学校への信頼をなくす。「解決」の判断や、同じクラスにしたこと、「訴えがなかったから問題はない」という学校や県教委の対応には疑問が残る。今からでも1年時のいじめについて検証すべきだ。

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